腰上を分解してだいぶ軽くなったエンジンを下ろします。

ジェネレーターカバーとローターを外すので、先に配線を外します。ジェネレーターの配線は本来スプロケカバー内のギボシで接続されていますが、この車両は右サイドカバー内のレギュレーターまで1本で繋がっているようです。カバー裏の吸音材のネジは2本脱落していますね。

スプロケカバーはポリッシュするので、一旦裏の吸音材を外します。

ステーターコイルからの配線を外すには、レギュレーターまで外すレイアウトになっていました。

エンジン下ろしに邪魔になる、右のステップとブレーキペダルも外します。

ブレーキペダルの後ろ側、マスターのプッシュロッドはかなり斜めに接続されています。ペダル側はクレビスピンなので、傾きには対応していないはずです。

社外マスターのマウントアダプターは、スペーサーで内側にオフセットされています。このスペーサーは必要ないのでは?

ステップを外します。

ペダルに引っかかったままなので一旦マスターを外します。

こちらのマフラーステー、斜めの状態で接続されていて回転する構造なので、マフラーの重量はほとんど受け持っていません。その場合エキゾーストスタッドのみでマフラーの全重量を支えることになり負担がかかるので、改善しないといけませんね。

オフセットスペーサー無しでマスターを仮組します。

ペダル軸の奥にあったスペーサーも取り除きます。Mk2系はブレーキペダルが数種類ありますが、マスターやフレームの構造も同じだけ種類があり、組み合わせに互換性が無いので注意が必要です。

スペーサー無しでペダルを組みます。この場合、ペダル軸が飛び出してしまうのは、このペダルがフレームに適合していないためです。

この状態でプッシュロッドは真っ直ぐになりました。フレームへの干渉も無いので、このアライメントを優先すべきです。

ステーコイルの配線を左側に引き出します。

スターターモーターも外します。マグネットスイッチ側の端子は、ハンダのみで取り付けられています。少々心もとないのでこれも改善した方がいいでしょう。

バッテリー側のケーブル端子も、同様にハンダ付けでした。かなり不安な感じに付いています。ここも改善しましょう。

社外ヒューズBOXの下に出てる配線も、マグネットスイッチに干渉してかなり窮屈な状態です。どちらかを移設した方が良さそうです。

スターターモーターを外します。

ケーブルはモーター側で継いであるようで、ターミナルのカバーは無くなっています。ケーブルは作り直したほうがいいでしょう。

ジェネレーターカバーを外します。薄型ジェネレーターになっていますね。

チェーンを外すのでフロントスプロケを外します。ロックワッシャーはかなり年期が入っているので交換しておきます。チェーンは630ですね。

エンジンマウントボルトのナットが、長い袋ナットになっており、チェーンの干渉でかなり削れています。ここは出っ張らせてはいけない場所です。ここも要改善。ミッションカバーにもチェーンで削れた痕があります。チェーンとスプロケはこの際530にしてはいかがでしょうか。

このナットのおかげでチェーンがフレームに干渉するのを防ぐ効果はあったようですが、当たりが強い場所なので干渉防止するならローラーなど他の方法がいいでしょう。

エンジンを下ろしても転がせるように、チェーンはリヤスプロケからも外して吊るしておきます。

ジェネレーターローターを外します。このローターは良く扱う薄型ジェネレーターのなじ物ですね。プーラーを取り付ける前に、クランク先端にカワサキ製SSTのアダプターを挿入します。

プーラーはこのジェネレーターローターに適合する、M33×1.5の汎用SSTを使います。腰上を分解したこの状態でインパクトを使うときは、カムチェーンがクランク周りに噛み込まないよう持ち上げてながら行います。

インパクトを回すと一瞬でローターは外れました。かなり締め付けが弱かったようです。幸い、クランクのテーパーはきれいなままですが、締め付けが緩いとローターが空転してクランクテーパーを傷つけるので要注意。締め付けトルクはマニュアル値を準拠した方がいいでしょう。因みにMk2系の場合はJ系と同じボルトサイズなので、J系の規定値の16kg・mで締めるようにしています。

ローターアセンブリーを外した状態がこちら。中心のワッシャーは裏表が逆ですね。

このワッシャーはクランク根元のスミアールを逃げるための物。大きな面取り側をエンジン側に向けるのが正解です。ノーマルローターでワッシャー裏組をやると大きく変形しますが、この薄型ジェネレーターでは大丈夫なようですね。ケース側に張り付いているドーナツ状のダンパーも、裏表逆に付いていますね。

このダンパーは本来この向きに付き、インローはギヤと一致します。

エンジンマウントボルトを外し、ジャッキでエンジンを持ち上げ、フレームには養生をしてからエンジンを下ろします。

エンジンを下ろします。エンジン丸ごとでも脱着は可能ですが、ここまで分解しておけばひとりでも楽にできます。
