Z750FX1 E.M様 エンジン腰上分解

  

今回はエンジンの分解点検、エンジン塗装、オイルクーラー更新のご依頼です。最初にお話をいただいてから1年以上お待ちいただいており、今回ようやく作業開始します。

 

エンジンは「ハチロク」になっているとのこと。詳細は不明なのでそのあたりも明らかにしたいとのことで、早速分解します。ヘッドカバーを外します。内部はオイルの焼けなども無くきれいですね。

 

カムホルダーネジのトルクを確認します。全数トルク抜けは無く大丈夫でした。

 

バルブクリアランスを確認します。ここ、1番エキゾーストですが、クリアランスがゼロです。もともとアイドリング不調もあり、キャブをバイパスポート加工済みCR33に変更してなんとかしのいできたのですが、原因はエンジン内部にあったようです。ここ以外のバルクりも、広いのから狭いのまでバラバラです。前回のエンジン作業、いろいろ問題ありそうです。

 

カムを外します。カムメタル、タペット、ともに大きな損傷は無いようです。

 

カムはノーマルです。ピストンがヨシムラ860ccなら、カムもハイカムのST-1にするともっと軽快に上まで回って気持ちいのでお勧めですよ。

 

シリンダーサイドのM6ネジもよくトルク抜けしている個所です。これも右側はトルク抜けしていました。ヘリサート修理が必要でしょう。

 

ヘッドを外します。

 

ヘッドデッキ面は面研してありました。燃焼室のカーボンは少な目です。

 

シリンダー側はこんな感じ。積層のメタルヘッドガスケットが中間で剥がれた状態で、ピストンはハイコンプであることがわかります。

 

フロント側のカムチェーンガイドローラーは、ダンパーとハウジングが剥離していますね。

 

オイルクーラーコア側。アダプターとコア間のネジにシールテープが巻いてあります。ここはテーパーネジでしょうから何かしらシール材が必要ですが、巻き方によっては美しくなくなるので要注意。

 

オイルホースのエンジン側。ここはAN規格のコネクターなので、シールテープは巻いてはいけません。先端のテーパー部分でのみシールされます。ネジはストレートなので本来シールテープは効きませんが、テーパーにキズがあり強引に止めるなら仕方ない時もありますが。テーパー部が傷ついてオイル漏れする場合は、コネクターを新品こうかんするか、テーパーに被せるコニカルシールを利用した方がスマートです。今回オイルクーラー系は全交換になる予定。

 

シリンダーを外します。ピストンはφ69ミリのヨシムラで間違いないですね。

 

ピストンピンを抜いてピストンを外していきます。ところが3番で問題が発覚。

 

ピストンピンのスナップリングが半分ズレてきちんとはまっていませんでした。このピストンの形状からして、スナップリングが外れても直ぐに落ちることは無さそうですが、過去にはスナップリングの脱落からピストンピンがシリンダー内壁を傷つけ、スリーブ破損に至った例もありました。非常に危険な状態であったということです。

  

ピストンを全部外します。エンジンは外せるものは先に外し、軽くしてから降ろしたいと思います。

 

外したピストンはこちら。カーボンも少な目、側面のスカッフも少な目です。

 

裏側はこちら。オイルの焼けもほとんど無し。ピンのキズも少な目。

 

リングのアップがこちら。トップリングは中央のみ光沢がある状態。摩耗がまだ少ないことが伺えます。リングは継続使用で問題無いでしょう。

  

いろいろトラップがあるこのエンジン。このあとも慎重に進めます。

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