交換予定の部品と点検、それから改造のため、既存の部品をどんどん外していきます。
タンクにはS1タイプのブリーザーが付いていますが、ホースにはチェックバルブがありません。このままでは転倒時などの逆流を止められないので危険です。
バイク用には完全にワンウェイにならない1.5ウェイ的な専用のチェックバルブが必要です。
例えばこのようなチェックバルブが適切で、フリーで導通のある向きを外からタンク内への吸い側に。逆方向は抵抗がありつつもわずかに導通するタイプです。
このような1.5ウェイのチェックバルブでないと、エンジンを止めた後の熱によるタンク内圧の逃がしができなくなり、タンクが膨張したり油面が上がる原因になります。
ガソリンコックの取り付けボルトにはガスケットが必要ですが、このようにワッシャを挟んでは意味がありません。
シールされていないワッシャーとボルト座面の間からガソリンが漏れてきます。
ここでは、真ん中の金属平ワッシャーは不要です。
ガスケットはゴム製より、純正のナイロン製の方が剛性があって、より適しているでしょう。
現在のキャブはCR35です。
付いているフィルターが内径φ3ミリと、これは小さ過ぎます。
連続高負荷だと、流量不足で油面が下がり燃調が薄くなります。
大型車にはより大型のフィルターが適しています。左側は一般的な内径φ5ミリです。
各フィルターの内径から断面積を計算すると、約3倍近い開きがあります。
φ3ミリがいかに小さいかわかります。
ツインプラグになっていますが、2番3番のセカンダリープラグのキャップにはゴムキャップが付いていません。これではホコリが溜まってくるとプラグガイシの沿面を伝って高電圧がリークします。
ゴムキャップが無いのは、プラグ周辺のスペースが狭いからのようです。
ツインプラグの際は、もっとコンパクトなプラグキャップが適しています。
ということで、プラグコードとキャップはツインプラグに適したものに全て交換することに。
フレームの前の方には、タンクとかなり干渉した痕が付いています。これはJ系によくみられる症状です。
タンクには薄いゴム板が貼られていましたが、ズレて摩耗が進んでいます。
塗装が剥がれ鉄板の摩耗が始まっています。このまま乗り続けるとタンクに穴が開くので対処が必要です。今回は再塗装の予定があるので、タンク側をたたいて凹ませておきましょう。
ウオタニが付いたコイルブラケットは割れたためかかなり補強されています。
ウオタニ純正の青いブラケットは折れることが多いので、コイルブラケットはシンプルな専用品を作ることにします。
フロントカウルのアンダーブラケットはカウルの角度に合っていないのでカウルが変形しています。
ブラケットは社外品でした。もう少し水平に近いのが正解です。
ゴムダンパーもリング状のものが1個欠品しています。
本来はツバ付きの金属カラーとゴム2種の組み合わせです。
リング状のゴムダンパーを無くさないようにするには、この向きで組んだ方がいいでしょう。
これなら、カウル脱着の際に無くすこともありません。
ブラケットの角度は修正します。
これでカウルの角度に合いました。
ライトリムのネジは、ツバ付きのカラーが欠品しています。
本来はこれが入ります。
カラーがあれば強く締め込んでもケース割れは置きませんが、既に手遅れでしたね。
複雑な結線だというメインハーネスを点検します。
ライトケースは別のところも割れていました。
メインハーネスは社外品を使用しているようですが、とにかく改造か所が多く複雑です。既存のメーターハーネスも、接続のために全て改造されています。
これではメーター交換もままならず、故障した時の修理も、回路を追うことから始めないといけないので大変です。メインハーネスはもう一回交換してやり直します。
ライトケースは貴重品なのでまだまだ修復して使います。
見えない所なのでとりあえずはテープ止めで対応します。
メインハーネスはZ1000-R2純正品に交換します。これならわずかな改造で取り付け可能です。メーター側ハーネスの改造か所は、全てノーマルに戻す予定です。
既存のメインハーネスを外します。
ウオタニSP2がついているのに、なぜか純正イグナイターも残されたままでした。
社外品レギュレーターのカプラーは、端子の接触抵抗の熱で溶けています。
もう少しで発電不良かショートで発火していたかもしれません。
こちらも交換します。
クラッチケーブルは外して手で動かすとかなり渋い感じです。
こちらも新品交換します。
オイルクーラーホースを外します。フィッティングにはコニカルシールが使われています。
何か漏れでもあったのでしょうか。
オイル取出しブロックの辺りからオイル漏れするので、外して点検します。
こちらは以前、弊社で部品単体で製作して送ったものです。
取り付け面は特に異常無し。
製作時にも漏れチェックしましたが、再度エア圧で点検します。
溶接個所は漏れ無し。奥のボルト穴は圧が掛かるので出てきても不思議じゃありません。
問題がわかりました。手前のボルト穴にも圧力がかかっていました。
切断してみると、取り付けボルト穴に貫通している純正ネジ穴と油圧回路が僅かにつながっていました。
これは明らかに製作時のミスです。ご迷惑おかけしました。
溶接で埋め直し、新しいフィッティングを溶接します。
再度エア圧で確認したところまだわずかに漏れるので、エポキシパテを充填します。
取り付けボルト穴に貫通していた横穴にパテを充填します。
パテが硬化した後再度漏れチェックします。これでもう大丈夫です。
平面が少し傷ついたので、定盤上で面出ししておきます。
今回は現車があるので、問題があればすぐにわかるでしょう。
カムチェーンテンショナーはマニュアルタイプが付いています。
定期的な調整が必要ですが、スキルがないと調整は難しい作業です。
特別の理由が無いならオートテンショナーへの交換をお勧めします。
本日、S1用アウターローターも入荷しました。