一通りの組み立てが済んだので試運転に向かいます。
ところが直ぐにエンジンがバラつき出したので止めて点検。キャブがオーバーフローしているようです。
横から除くと2番のキャブから漏れていました。
ガレージに戻り修理します。キャブは車載のままフロートチャンバーが外せたので内部を点検します。フロートチャンバーのそこにはサビの粒のようなものが2粒ありました。少しガソリンを流してからフロートを指で押し上げてみますが、ガソリンはまだ止まりません。フロートとニードルバルブを外して点検します。
別段、消耗していたりゴミが付いている様子も無し。再度取り付けてみたらオーバーフローは止まりました。
改めて試運転に向かいます。マスターとホースを交換したフロントブレーキは、効きもレバータッチも良好です。エンジンもここまでの軽負荷の走りでは特に問題無し。
復路でスロットルを開けて高負荷も試してみると、かなりのヘビーノックが発生します。点火系はウオタニSP2なので、ユニットの点火時期ダイヤルで遅角させようとしましたがダイヤルは固着して回せません。仕方なくピックアップコイルのベースプレートを回してイニシャルのBTDC(上死点前)10°から5°戻してBTDC5°にします。
ベースプレートごと動かすと、アイドリングでの点火時期も一緒に変わってしまうので都合が悪いですが仕方ありません。
ノッキングは少し減りましたがもっと遅角する必要があるようです。
他にも不具合があり、帰り道に1番プラグが緩んで燃焼圧が漏れているのに気が付きました。
プラグを外そうとするとネジが少しかじる感じで抵抗があります。そのままそーっと回すとなんとか外せました。プラグのネジにはヘッド側のネジ山が付いていますね。よく見るとプラグのガスケットも潰れていません。
ヘッド側の雌ネジを見ると、ネジ山がかなり低くなっています。もともとトルクがかからないので、ガスケットが潰れないくらい軽く締めていたようです。
プラグを新品にしてトルクがかかるか確認します。
空回りしてトルクはほとんどかかりません。修理が必要です。
ウオタニの点火時期ダイヤルをサイズの合ったドライバーを探して回そうとしますが全く動きません。ここで点火カーブを変更したかったのですが無理のようです。ユニットを交換するしかないようです。
今回、限られた作業期間しかなかったので、プラグネジの修理は車載のまま試してみることにします。キャブを外し、インテークバルブを少し開いた状態にします。タップの切粉がシリンダー内入らないよう、インテークポートからエアガンで吹きながら作業します。
タップはこちらを使用します。ガイド用のM14ネジが先端にあるタップで、下穴を開けずにヘリサートのネジが切れます。
ゆっくり少しずつ切り込みます。切粉が外に飛ばされて出てきます。
タップ立てが済んだらヘリサートを挿入します。
ヘリサートが入りました。このあと奥にあるタングを折り取ります。
折ってシリンダー内に落ちたタングの破片をマグネットで拾い出します。これが拾えなければヘッドを分解しなければなりませんでした。
プラグを付けてトルクチェック。今度は大丈夫です。
フューエルラインにはフィルターを追加します。
先ほどのチェック走行中、オイルレベルの警告灯が点くようになりました。オイルは十分入っているのですが。
警告灯の線をエンジンに短絡すると警告灯は消えます。どうやらオイルレベルセンサーが故障したようです。センサーの代わりがないので、そのままアース回路を作って繋げ、警告灯を無効化しました。
これで警告灯は3個とも無効となりました。その後のチェック走行では大きな問題は無かったので、今回の作業はひとまずこれで終了です。次回の作業はエンジンオーバーホールも視野に入れて計画したいところです。