エンジン組み立ての続きです。ヘッドは一旦分解して軽く清掃します。
カーボン堆積は極わずかですが、分解のついでにカーボンを落として洗浄します。
洗浄後はこちら。
外したバルブもカーボンを落とします。
ボール盤にくわえ、回転させながらサンドペーパーでカーボンを落とします。
研磨後はこちら。
カムは既存のヨシムラST-L1(ステージ1)からST-L2(ステージ2)にステップアップします。ちなみに「L」が付くのは現行品の中空・軽量になったカムで、プロフィールなどは以前の鋳造品ベースと同じです。
左がST-L1で右がST-L2。リフトと作用角が増えていますが、見た目では極わずかな違いです。
リフトが増えたのでカム山がヘッドに干渉するようになります。仮組して当たるところを逃げ加工します。
この1000Jヘッドの場合の逃げ加工は、インテーク側のみこの程度の加工で大丈夫でした。
全体はこんな感じ。
ハイリフトなので動弁系は強化します。バルブスプリングは強化品に変更し、シムとリフターは軽量化でインナーシムタイプに変更。慣性重量を減らして高回転でのバルブサージングを予防します。これで10000rpmでも常用可能になります。
バルブを組んだらヘッド単体でバルブクリアランスを調整するので、ゲタを履かせてヘッドを浮かせます。カムを取り付けて回すとバルブがデッキ面より飛び出すので、それをかわすためです。
片側ずつカムをセットし、バルブクリアランスを計測、再びカムを外してシム交換し、クリアランスを調整します。
シム調整が済んだので、ヘッドをエンジンに組み込みます。デッキ面はきれいにして脱脂します。
エンジン側はガスケットなど準備完了。
ヘッドを組み付けます。
カムを取り付けます。
カムチェーンテンショナーを取り付けます。使用しているのはS1と同じタイプのテンショナー。カワサキの別の車種からの流用です。テンショナーはワンウェイになっているので、伸び方向にしか進みません。スプリングを縮め、プランジャーを引っ込めてロックしてから取り付けます。
テンショナーをシリンダーに取り付けたら、ロックボルトを一旦緩め、プランジャーを突き出したら再度固定します。
レンチでクランキングし、正常に回るか確認します。
続いてバルブタイミングを精密に調整します。先ずはクランク上死点を正確に割り出し、タイミングホイールを合わせます。
ダイヤルゲージの測定子は、プラグホールを通ってピストンに当たっています。
次にエキゾースト側のタイミングを規定値に合わせます。
続いてインテーク側も同様に合わせます。許容差は±0.5°くらいにしています。
バルブタイミングが調整出来たら、タイミングホイールを外してピックアップコイルを取り付けます。ベースプレートのタイミングは、初めは規定値である「上死点前10°」としますが、今回は1200ccで高圧縮な仕様なので、このあとの走行チェックでノッキングが回避できないようであれば、ベースプレートごと動かして、点火時期を調整することもあります。
ヘッドカバーを取り付けます。
キャブとマフラー・イグニッションコイルなど補器類を取り付け、エンジン始動チェックします。以前の仕様より排圧が上がり脈動も大きく、アイドリングでも明らかに変化が感じられます。