いよいよ大詰めです。ここでチェーンの張りをチェックします。この車両の場合、スイングアーム下側に補強バーがあるので、チェーンがバタつくと干渉し易いと思いますが、チェーンを張り過ぎるのはベアリング破損などの重大なトラブルに繋がるので注意しなければいけません。
車両ごとに適正なチェーンの張りを確認する方法は、リヤショックを切ってこのようにスイングアームを持ち上げ、アウトプットシャフト、ピボットシャフト、アクスルシャフトの3軸が横から見て一直線になるようにし、このときチェーンの弛みがほぼ0になるよう調整します。むやみに張り過ぎるとこの状態になった時にチェーンに強大な力が掛かり、大抵はベアリングが破損するので要注意。
チェーンを適正な張りにしてからリヤショックを復元すると、スイングアームの垂れ量に応じてチェーンは弛みますが、この車両の場合は絶対にこれ以上張ってはいけません。
チェーンの弛みを上にすると補強バーに完全に当たります。走行中にカチャカチャ音がすると思いますが、このスイングアームを使う限りはやむおえません。
続いてマフラーです。BLファクトリー製カワサキワークスタイプ アップ ロング 仕様の新品に耐熱セラコートしたものが塗装屋さんから戻ってきました。
マフラーパイプはオイルフィルターカバーと干渉するので、フラットタイプに変更します。
ボルトは6角穴タイプになるので、締め付けは規定トルクで。締め過ぎると緩める際に6角穴をなめてしまうので要注意。
マフラーとのクリアランスはこのくらいです。
ここでちょっと手直しを。既存のウオタニですが、ピックアップコイルパネルのスペーサーが社外品の小径な物で組まれていました。
点火時期調整のための長穴に食い込み、調整がスムーズにできなくなっていました。
ここはしっかりウオタニ純正のスペーサーを使用しましょう。
5ミリのこのようなスペーサーは市販品が無いようなので、アルミ棒から切り出します。
同形状のスペーサーを製作。
ピックアップコイルを取り付けます。
パルシングカバーを取り付けます。
続いて今度はトルクロッドの付け方を修正します。
現状は妙に斜めに引っ張り、タイヤとのクリアランスもギリギリです。
取り付け部をみるとカラーの位置を変えれば修正できそうです。
カラーを内側に変更し、ロッドを外側にオフセットさせます。
これで斜め具合も少なくなり、タイヤとのクリアランスも十分取れました。
サイレンサーのバッフルはグラスウールを増しておきます。
サイレンサーのステーは現車合わせで作るタイプなので、形状を決めます。
ジュラルミン板でステーを製作します。
ステーを取り付けます。
後ろから見るとこんな感じ。
既存のオイルクーラーホースを復元します。
スターターケーブルのターミナルブーツは、劣化しているので新品に交換します。
ジェネレーターハーネスの端子も焼けて固着しているので交換します。
ギボシ交換後はこちら。
配線をまとめます。スプロケカバーに挟み込まないよう、スターターケーブルとジェネレーターハーネスは、このように固縛しておくといいでしょう。
スプロケカバーを付けてクラッチレリーズの遊びを調整します。
キャブを復元します。
エンジンオイルを入れ、火入れします。
エンジン始動OKです。バッテリー電圧が少し低めではありましたが、スターターモーターのクランキングが遅かったので、1200cc+ハイコンプピストンエンジンとしては、このスターターは力不足かもしれません。純正の高出力型に交換した方がいいかもしれません。
このあとはエンジン慣らし運転とキャブセッティングです。