サブプラグ用のヘリサートが入荷したので作業を再開します。
傷んだネジ穴をヘリサートの下穴径に拡大します。
ヘリサートタップでネジ切します。
サブプラグのネジサイズはM10×P1.0です。
ヘリサート挿入後はこちら。
プラグを付けてトルクを確認。
ヘッドを組み付けるのでシリンダー側の準備です。
4隅のスタッド穴はオイル通路も兼ねるのですが、ボア拡大によりスリーブのツバが穴の近くまで来ています。ヘッドガスケットのボルト穴周りのビードがこの段差にかかるようなので、段差の部分に液体ガスケットを塗っておきます。
ヘッドガスケットなどをセットします。
ヘッドを組み付けます。インナーシムは分解時に計測したデータに基づき、予め適正に変更しておきます。
バルブタイミングを合わせてカムをセットします。
カムホルダーを取り付け、トップライドラー、テンショナーを取り付けます。
バルブクリアランスを確認します。
タイミングホイールを取り付けるため、一旦パルシングコイルを外します。ベースの取り付けネジのスペーサーが間に合わせで作ったもののようです。
左がウオタニ純正のスペーサーです。5ミリの物は市販品が無いようなので丸棒から削り出しました。穴が長穴なので座面のワッシャーも必須です。
バルブタイミングを計測します。初めにクランク上死点を正確に割り出します。
エキゾーストカムのタイミングを計測します。ヨシムラの値より5°ほどズレていますが意図したものか不明です。ここはヨシムラの規定値107.5°に合わせます。
カムスプロケボルトを緩めてスプロケをスライドさせ合わせます。
続いてインテークカムも計測します。こちらも規定値の105°に対して2°ほどズレていましたが、カムスプロケの長穴が足りないのでこれ以上寄せることができません。ここは次回のエンジンオーバーホール時にカムスプロケを変更したいですね。今回はこのままいきます。一般的にバルブタイミングはセッティングの際に2°刻みで変化を見ます。最適値付近では2°の変化でトルク値が1~2%変わりますが、4°変わると5%以上変わることもあるものです。規定値に対し2°ズレまでは許容範囲、4°ズレはNGと考えます。ちなみに弊社で合わせるときはメーカー規定値に対し±0.5°の範囲で合わせています。
タイミングホイールを外し、先ほど製作したスペーサーとワッシャーを追加してピックアップコイルを取り付けます。こちらは基本位置の上死点前10°でセットします。点火時期の調整は実走で行い、最大トルクの出る6500rpm付近でスロットル全開時にノッキング音を聞き分けながら設定します。こちらはバルタイよりシビアで、2°ズレるとノックを起こしてエンジンブローとなることもあるので、レースならノックを起こすところより2°遅角より二、ストリートなら4°以上遅角してセットします。ウオタニならダイヤルを回して調整します。因みにウオタニにはレブリミッターも付いていますが、Z系エンジンは2バルブで吸排気効率が良くなく、ピストンストロークも66ミリと大きいのでピストンスピードが速いため、あまり高回転は得意ではありません。通常のチューニング範囲なら最大トルクは6500rpm前後で発生し、最大出力は8500rpmくらいで発生します。ここでビッグバルブやポート段付き修正、ポート拡大などすると最大出力発生回転数が上がり出力が上がります。通常はノーマルと同じ8500rpmでレブリミットを掛けたいところですが、ウオタニでは9200rpm以下の設定ができないので、ストリートならダイヤルゼロの9200rpmに設定します。レースの場合はエンジンを高回転寄りにしたてた上で、レブリミットは11000rpm辺りまで上げることもあります。
パルシングカバーを取り付けます。
オイルシールとOリングを交換したタコギヤを取り付けます。
カムプラグ、ガスケットをセットします。
ヘッドカバーを取り付けます。
はみ出した液体ガスケットは拭きとっておきます。
エンジン修復完了です。