Z1R1 T.K様 エンジンオイル漏れ修理 腰上分解点検 その3

 

エンジン分解点検の続きです。シリンダーにあるカムチェーンガイドを交換するのでボルトを緩めますが、ボタンボルトが使用されており、小さい6角穴のためレンチがなめて緩められません。

 

タガネでたたいて回します。

 

無事に取れました。

 

シリンダーのガスケットを剥がします。

  

ここは純正同様のグラファイト製ガスケットが使用されているので、比較的柔らかくて剥がし易いです。

 

ガスケットを剥がすと、デッキ面には無数のキズがあります。過去の整備で付けたキズでしょう。次回、スリーブを外す機会があれば面研したいところです。

 

ガスケットを剥がしたら、オイルストーンで面を仕上げます。

 

オイルストーン仕上げ後の上面はこんな感じ。シリンダー内壁に少々スカッフがあります。

 

シリンダーを下から見るとこんな感じ。

 

フレックスホーンで軽くホーニングし、スカッフを滑らかにします。

 

ホーニング後はこちら。浅い傷はほぼ目立たなくなりました。

 

よく見るとわかりますが、深い傷はホーニングでは取り切れずに残ります。今回は費用を抑えるためにオイル漏れ修理と最低限の修正のみですが、次回はスリーブを外して下面面研し、スリーブを外すと緩くなるので新たにスリーブを製作し挿入後上面面研、といった感じになるでしょう。その際、シリンダースリーブの入る部分は既に拡大されているので、ボアは現在のφ72ミリからφ76ミリの間で設定可能でしょう。

 

エアブローするとペリペリと大きな破片で結構塗装が剥がれてきます。塗膜が厚いのでパウダーコートだと思いますが、下地の処理が良くなかったのか、金属表面が腐食して剥離している感じです。次回はエンジン塗装もしたいですね。

 

続いてヘッド。大きな問題は無いようなので、分解せずに外観洗浄のみでいきます。

 

エキゾーストポートを覗くと、ガイドの根元辺りが湿っているのがわかります。4気筒共こんな感じです。ポートは研磨されており、その際ガイドを外して行ったようで、少し緩いのでしょうか。ここも次回は修理したいですね。ガイドを抜き、内径を精密に仕上げ、外径がオーバーサーズのガイドを製作し圧入、バルブシートカットまたはシートリング後シートカットし、バルブは新品交換するといいでしょう。

 

アルミ製のカムプラグは外します。

 

昔の名残でしょうか、カムプラグが入るところにポンチが打ってありますね。現在の純正カムプラグは脱落防止の出っ張りがあるのでずいぶん組みやすくなりました。はみ出している液体ガスケットは取り除きます。

  

燃焼室のカーボンは少な目です。特に破損も無いようです。

 

デッキ面をきれいに洗浄します。

 

こちらもエアブローすると塗装が剥がれてきます。

 

ヘッドカバーもガスケットを剥がして洗浄します。

 

こちらもエアブローで塗装が剥がれました。他のところも塗装の浮きがかなりあるので、塗装面はあまり触らないようにします。

 

ヨシムラST2と思われるカムは、カム山の両サイドが大きく面取りされています。カム山部分の面圧が大きくなり摩耗が早くなるので、次回は交換したいところです。

 

カムスプロケボルトはキャップボルトタイプに変更されています。6角穴が結構なめているので、あとでバルタイを取る際にこれ以上酷くならないよう純正ボルトに交換しておきます。

 

純正のカムスプロケボルトはこちら。9Tの文字がある高張力ボルトです。現在のバルタイを変えないよう、1本ずつ交換します。

 

締め付けは規定トルクでしっかりと。

 

ボルト交換終了です。ボルト脱落の過去もあるエンジンなので、純正新品ボルトの方が安心です。

 

一通り点検・修正・洗浄が終わりました。この後は組み立てです。