エンジンスタート時に異音がするとのことで、事前にご相談があり日帰り修理のため入庫していただきました。
症状は冷間始動時に散発するようで、事前にいただいたその際の動画を見た限り、スターターモーターのトルク不足のような動きでした。
オーナーさん自ら故障個所を想定してスタータークラッチ周りの部品をお持ち込みになられました。私の見立てだとスタータークラッチの異常ではないと思います。
スターターモーターは後期型の高トルク品に交換済み、メインハーネスも新品交換済みとのこと。その辺りを確認します。
バッテリーマイナスケーブル周りも点検。こちらは古いままのようです。バッテリーはショーライですが、4~5年使っているとのこと。
バッテリーのマイナス端子を外してみると、間に挟んであったアーシングの端子のサビが酷く、それをもらってターミナルもかなり腐食していました。
マイナスケーブルのエンジン側は特に問題無いようです。
マイナスケーブルは新しいものに交換します。バッテリーも電圧測定では十分に電圧があっても出力は落ちていることもあります。使用年数が長いのでこちらも交換をお勧めしました。
マイナスケーブルはZ1000R用純正を使います。アーシングは不要なので取外しをお勧めしました。
暫定で、ターミナルの錆びを落としてから取り付けます。これでバッテリー交換後、しばらく様子を見ていただくことに。
分解ついでの修正。S1ステップが付いていますがエンジン側シフトリンケージの角度はもともとこんな感じになっていました。リンクとアームのなす角度が極端に鋭角になっています。伺ってみるとアップとダウンでペダルの操作力が違うとのこと。この場合はアップに必要以上の力が要る状態です。これも修正します。
クランプボルトはステンレスボルトだったので純正の高張力ボルトに変更します。この部分、ステンレスボルトでは必要な締め付け力に対し強度が足りません。締め足りないとセレーションがガタつきシャフトのセレーションを痛めるので要注意。
ロッドの長さを最短にし、角度をできるだけ90°に寄せました。これが適正な状態です。
その他、スイングアームの垂れ角が大きいので、チェーンの適正な張り量の設定方法をご説明。適切に整備していいコンデションを維持されてください。