Z1000R2 Y.T様 ワークスS1仕様製作 足回りを分解しての寸法取りと重大不具合発見

 

弊社のS1ローターに変更するので、製作する前にホイール周りの寸法を確認します。

 

現状はドレミモーリスにPMC製6穴S1ローターの組み合わせ。左側も右側用のインナーを使ってフラットにしてありますね。

 

取付ボルトを外してみると、頭の外径を削ったM10ボルトが使われていました。ボルト座面は極わずか。

 

ローターを外します。6ミリほどのスペーサーが入っています。ですが、ローターとホイールの内径は合っておらず、正確なセンターが出しにくい構造です。

 

スペーサーを外すと、もとのM10 4穴からネジ穴を4個追加してM10 6穴仕様になっていました。M8 6穴仕様にしたいところですが、ネジ穴間にスペースが無いので弊社のS1ローターを付けるには再検討が必要ですね。

 

続いてリヤへ。

 

チェーンが少し張り過ぎなようなので、リヤショックを外して点検します。

 

リヤショックを外してリヤホイールを持ち上げます。ミッションのアウトプットシャフト、スイングアームピボット、リヤアクスルの3軸を一直線上にします。これがチェーンが一番張る状態。現状は少し張り気味。この状態で張り過ぎていると、チェーンや3軸のベアリングやハウジングに過大な力が掛かり破損することがあるので要注意。チェーンは絶対張り過ぎてはいけません。

 

リヤマスターとも干渉しそうです。

 

リヤショックの長さとストロークから、バンプタッチまでで250ミリまで下がる計算。フルバンプだとリヤマスターは破損していたでしょう。

 

リヤショックの上下ブッシュは、ワークスパフォーマンス純正のナイロン製のようです。今のところヘタってはいませんが、耐久性が悪いのでゴム製への交換をお勧めします。

 

スプロケカバーを外します。スピードセンサーは弊社のものとよく似た構成ですね。

 

チェーンも一旦外します。

 

ドレミモーリスはチェーンラインが5ミリほどオフセットされているのですが、フロントスプロケはオフセット無しの標準タイプが付いています。純正は4.6ミリツバがあるので、このスプロケはノーマルチェーンライン用です。チェーンの当たりも内側が強く当たっていますね。

 

入庫時から気になっていたリヤ周りのガタ。ホイールを左右にゆするとスイングアームピボット辺りにガタがあるのがわかります。

 

リヤアクスルはトルクが弱く既定の半分ほど。ですが、ガタはアクスル周りではないようです。

 

リヤホイールを外します。

 

リヤローターも分解点検。こちらも4穴から6穴に改造されていますね。

 

奥には10ミリ厚ほどのアダプターが入っていました。こちらもセンターは支持されておらずフラット面にローターが付いていました。

 

アダプターを取るとこんな感じ。リヤはs1も4穴なのでこのまま使います。

 

スイングアームは単独で左右に揺らすとガタガタします。ピボットボルトはそれなりのトルクで締まっていますが、何か破損しているのでしょうか。

 

スイングアームを外します。

 

ピボットベアリングはテーパーローラーベアリングが使われています。この構造だとプリロードを調整するのにフレームをたわませないといけませんね。ダストカバーは削れて小さくなっています。

 

右側はこんな感じ。ダストカバーの原型が残っています。

 

ベアリングのアウターレースは両側とも手で抜けてしまいました。左のハウジング根元には大きなクラックがあります。

 

チェーンガイドを外して上からも点検。クラックは上から下まで5センチほどありました。このスイングアームの使用は取りやめましょう。

 

転がし用にこちらの純正加工のスイングアームを入れようとしましたが、フレーム側が狭くて全然入りません。

 

元のスイングアームピボット幅を測ると約233.3ミリです。ノーマルより2.5ミリほど狭いですね。これを取り付けたためにフレーム間隔が狭くなっているようです。

 

純正スイングアーム幅は約235.8ミリ。フレーム側は普通236ミリでできています。

 

油圧ジャッキでピボット幅を広げて修正します。

 

これで純正寸法に戻りました。ピボットを規定トルクで締めてもスイングアームはガタ無くスムーズに動きます。

  

この先も注意して点検しないといけませんね。