整備と新規登録のご依頼です。
エンジンは始動確認済みとのことですが、ヘッドのエキゾーストスタッドボスの破損があったため、オーナーさんご自身では手に負えなくなったそうです。
車両は、フレームリペイントも無いオリジナルのようです。
外装は一部リペイントでした。
問題の破損個所は3番のエキゾーストスタッドボスです。
クラックがあるので、溶接で修理します。
合わせて、全体点検とメインハーネス交換なども追加となりました。
タンクのコック周りはガソリン漏れの痕跡があります。コックは新品交換とのこと。
電装品などを簡単に点検します。
ハーネス類はオリジナルのようです。
イグニッションコイルを外します。
コードとキャップは交換済みでしたが、コイルはクラックが入っているのでこちらも要交換です。
もう一方もクラックが入っています。
メインハーネスと左ハンドルスイッチとの接続カプラーはかなり熱で変形しています。これは交換します。
奥にあるこちらのカプラーも熱変形しています。
ジェネレーターハーネスのカプラーも熱で溶けています。
サイドスタンドのスイッチは取り外し、回路はキャンセルします。
メインハーネスを外していきます。
エンジン回りは、緩める前にトルクチェックしておきます。
ヘッドカバーのネジは大丈夫でした。
スパークプラグのトルクもチェック、こちらも大丈夫。
カムホルダーのネジは数ヶ所トルクが掛かりません。
マークしたところがNGです。
クランクを正逆転に回してカムチェーンのたるみを点検すると、テンショナーの戻りであろうバックラッシュが感じられます。
その動画がこちら。
カムが動かない範囲で、クランクは正逆一定範囲に回転できます。
バルブタイミングは正常です。
バルブクリアランスは、数ヶ所狭くなっています。
テンショナーを外してみると、プッシュロッドのストッパーピンが欠品しています。
カムホルダーを外します。カムの摺動面は綺麗です。
カムを外します。カムメタルはだいぶ消耗しています。
ヘッドを外します。
カムチェーントンネルのOリングは切れていました。
酷いオイル漏れはこれが原因でしょう。
燃焼室は特に問題無さそうです。
腰上が分解できました。
ボアはノーマルです。シリンダーも大きなキズはありません。
ピストンもノーマルです。
ピストンリングはベタ当たりしています。
シリンダースタッド周辺のゴミは、ケース内に落とさないように掃除機で吸い取ります。
ベースガスケットはノーマルではないので、以前にも分解歴があるようです。
ベースガスケットを剥がしてみると、以前のスクレッパーのキズ痕がかなり付いています。
ヘッドの破損個所をみてみましょう。
4番も溶接で修理した痕がありますが、スタッドが斜めになっています。
3番はクラックがあるので、大きく削り取って溶接で盛ることになります。
4番も、削り取って溶接修理します。
フォークはダストシールのみ新品交換済とのこと。めくってみます。
オイルシールの上にはオイルが溜まっており、シール交換も必要です。