Z1000J3 K.H様 エンジン腰上分解

整備と新規登録のご依頼です。

エンジンは始動確認済みとのことですが、ヘッドのエキゾーストスタッドボスの破損があったため、オーナーさんご自身では手に負えなくなったそうです。

 

車両は、フレームリペイントも無いオリジナルのようです。

外装は一部リペイントでした。

 

問題の破損個所は3番のエキゾーストスタッドボスです。

 

クラックがあるので、溶接で修理します。

 

合わせて、全体点検とメインハーネス交換なども追加となりました。

 

タンクのコック周りはガソリン漏れの痕跡があります。コックは新品交換とのこと。

 

電装品などを簡単に点検します。

 

ハーネス類はオリジナルのようです。

 

イグニッションコイルを外します。

 

コードとキャップは交換済みでしたが、コイルはクラックが入っているのでこちらも要交換です。

 

もう一方もクラックが入っています。

 

メインハーネスと左ハンドルスイッチとの接続カプラーはかなり熱で変形しています。これは交換します。

 

奥にあるこちらのカプラーも熱変形しています。

 

ジェネレーターハーネスのカプラーも熱で溶けています。

 

サイドスタンドのスイッチは取り外し、回路はキャンセルします。

 

メインハーネスを外していきます。

 

エンジン回りは、緩める前にトルクチェックしておきます。

ヘッドカバーのネジは大丈夫でした。

 

スパークプラグのトルクもチェック、こちらも大丈夫。

 

カムホルダーのネジは数ヶ所トルクが掛かりません。

 

マークしたところがNGです。

 

クランクを正逆転に回してカムチェーンのたるみを点検すると、テンショナーの戻りであろうバックラッシュが感じられます。

 

その動画がこちら。

カムが動かない範囲で、クランクは正逆一定範囲に回転できます。

 

バルブタイミングは正常です。

 

バルブクリアランスは、数ヶ所狭くなっています。

 

テンショナーを外してみると、プッシュロッドのストッパーピンが欠品しています。

 

カムホルダーを外します。カムの摺動面は綺麗です。

 

カムを外します。カムメタルはだいぶ消耗しています。

 

ヘッドを外します。

 

カムチェーントンネルのOリングは切れていました。

酷いオイル漏れはこれが原因でしょう。

 

燃焼室は特に問題無さそうです。

 

腰上が分解できました。

 

ボアはノーマルです。シリンダーも大きなキズはありません。

 

ピストンもノーマルです。

 

ピストンリングはベタ当たりしています。

 

シリンダースタッド周辺のゴミは、ケース内に落とさないように掃除機で吸い取ります。

 

ベースガスケットはノーマルではないので、以前にも分解歴があるようです。

 

ベースガスケットを剥がしてみると、以前のスクレッパーのキズ痕がかなり付いています。

 

ヘッドの破損個所をみてみましょう。

4番も溶接で修理した痕がありますが、スタッドが斜めになっています。

 

3番はクラックがあるので、大きく削り取って溶接で盛ることになります。

 

4番も、削り取って溶接修理します。

 

フォークはダストシールのみ新品交換済とのこと。めくってみます。

 

オイルシールの上にはオイルが溜まっており、シール交換も必要です。