モーリスホイール装着に合わせて、フロントローターはワークスタイプに変更します。
フロントローターは’79AMAワークスMk2のデザインと構造を模したワンオフ製作品です。ローター外径はキャリパーサポートの互換性を考えて、ノーマルと同じφ296ミリにしています。ベアリングはワークス車同様、インナーローターに接地しています。
フロントローター交換の前に、不具合の修理です。先日のツーリング先で駆動が伝わらなくなり立ち往生、レッカーで帰宅したとのことでした。引き上げ後、点検するとフロントスプロケットは空回りしています。
スピードメーターギヤBOXを外します。セルフロックの薄型ナットが外側に出てきており、カップリングを押し出していますね。スプロケはスプラインから外れ、アウトプットシャフトのネジの上で空回り状態でした。
スプロケを分解してみると、幸いにもネジやスプラインに大きなダメージはありませんでした。車両はMk2なのですが、アウトプットシャフトはZ1用が使われており、520スプロケをスペーサーでオフセットして使用している関係で、ナットの緩み止めは大型のセルフロックナットに頼っていました。
今後の対策として、ナットはネジロック剤を塗布しておきます。
締め付けトルクも5割増し。
追加でスプロケにあるネジ穴に緩み止めストッパー代わりに、キャップボルトも固定しておきます。
これで2重の緩み止め対策となりました。
樹脂のカップリングも新品交換しました。スプロケカバーもワークス仕様のカット品なので、定期的に目視チェックをお願いします。
続いて本題のフロントローター交換です。
ホイール側のベアリングは使わないので外します。ワークス車はホイールに対してローターが6本止めなので、ネジ穴も改造します。
ホイールベアリングをインナーローターに設置する関係で、右側のツバ部分も少しカットして低くします。
切断面を均します。
治具を使って6本止め用の下穴を開けます。
6本止めの取り付け穴は、PCD80ミリで設計しています。
M8ネジの下穴径に拡大します。
タップをたてます。
6穴化の完成です。
ローターを取り付けます。
アクスルシャフトも専用品の中空タイプを使います。シャフト径はφ18ミリ、ベアリングは左右のナット部分で支える構造です。
ディスタンスカラーの長さを微調整し、アクスルシャフトを取り付けます。シャフト径の拡大、ベアリングの大径化、左右ベアリングスパンの拡大により、フロントアクスル周りの剛性はかなり高くなります。
中空シャフトの内径も大口径です。
左右のロータースパンはフォーク内側ギリギリまで広げているので、サポートとローターのクリアランスは極小。ボルトの突き出しはNGなので、厚いワッシャで長さを調整します。
ローターとフォークのクリアランスはこんな感じ。
キャリパーもスペーサーで外側にオフセットします。
ホイールとキャリパーのクリアランスも確認。
既存のノーマルローターはかなり摩耗が進んでいました。パッドも表面が凸凹です。
パッドは斜めに変摩耗しているので、パッドも新品交換します。
先ずはフェロードの柔らかめのパッドでローターの慣らしをします。その後、用途に合ったパッドに変更する予定です。