筑波サーキットでテストを重ねてきた南アフリカ製のS1キャリパーですが、今回の分解点検で大きな不具合が見つかりました。筑波での周回数は、延べ5日間の走行で約300周です。
下の画像はキャリパーを分解してピストンを外したところです。このキャリパー特有の丸断面Oリング形状のピストンシールがボロボロになっているのがわかります。前後3個のキャリパー全てで発生していました。
シールを取り出してみるとこんな感じです。今までフルード漏れは発生していませんでしたが、このまま使用を続けていると漏れる可能性がありました。南アフリカのメーカーにはオーソドックスな角断面のピストンシールに変更するよう初めからアドバイスしていましたが、やはり丸断面のOリングでは、キャリパーは成立しないようです。改善されない限り、今後の使用は中止します。
ちなみに、一般的なキャリパーは全て角断面シールが使われています。シール溝の底は手前が深いテーパー形状をしており、その角度は6°前後が多く、詳細は各社の企業秘密となっています。この南ア製S1キャリパーのシール溝は、底に傾きが無いので、たとえ溝に合う角断面シールを装着したとしても、通常のキャリパーとしての機能は果たせません。
話を整備前に戻します。南ア製S1キャリパーは、走行中のレバータッチの変化が大きいなどの問題はありましたが、慣れれば走行に大きな支障はありませんでした。5回の筑波走行を終え、一旦テストを中断しようと思います。
南ア製S1キャリパーを3個全て外します。
キャリパーは手前にある元のS1キャリパーに戻します。レースは慣れている元のキャリパーで走行する予定。
ホースをつないでエア抜きします。
フロント装着完了です。
レバーのタッチは先ほどの南ア製とは明らかに違い始めからカチッとしています。
リヤもエア抜きして取り付けます。ちょうど、フルード交換のいいタイミングになりました。
リヤも取り付け完了です。
今週も筑波走行する予定です。
リヤホイールは、元のハイポイントモーリスのスプロケキャリアのベアリングハウジングにガタが発生したので、急遽ダイマグに変更しました。
外した南ア製S1キャリパーの点検です。ブレーキパッドはこちらのデイトナゴールデンを使用していました。
パッドが斜めに減っています。前後方向にも斜めになっています。これは3キャリパーとも同じ傾向です。
フルードを水で洗い流します。
エアブローして乾燥させます。
分解点検してみましょう。ブレーキチューブなどのネジ部は、漏れやすかったのでかなり硬く締めていました。分解するのも大変です。
分解して直ぐに異変に気が付きました。ピストンシールがボロボロです。
丸断面のシールは四角い溝にはめてあるので少し四角くなってきています。摩耗してヒダヒダに分離したゴムがピストンの隙間に入り込んでいたのでしょうか。ピストンが手で押しても戻せなかったのは、このゴムが挟まっていたのが原因かもしれません。
内側のシールの方が傷みが酷く、外側のシールの方が傷みがやや少ない感じです。これは3キャリパー全て同様でした。内側の方が走行風が当たり難いので温度が高いと考えられますが、熱的な影響かもしれません。
シールのアップはこちら。ゴムは特に膨潤は無いようです。ゴムの材質は不明です。
※このキャリパーを使用されている方は、直ぐに点検されることをお勧めします。