液漏れしていたクラッチレリーズシリンダーは、シールとピストン交換したかったのですが、ダエグの新品が意外と安いのでASSY交換することに。

取り付け、厚み、ともに使われている物と同じようです。プッシュロッドの当たるところには鋼球が埋め込んであり、より高品質になっています。

リヤタイヤを交換します。

現状は、リヤの車高がかなり高く、スイングアームの垂れ角が大きいにもかかわらず、チェーンの張りがきつすぎるようです。これも合わせてチェックします。

タイヤを組み替えます。

バランス取りします。ウエイトは40gとやや多め。

スイングアームはピボットにスラスト方向のガタがあることが判明。ピボットシャフトはしっかり締まっていますが。内部構造に問題がありそうです。

左右のリヤショックのアッパーマウントにもスラスト方向のガタがあります。

取付ボルトを外してみると、マウントブッシュのスリーブが短いことがわかります。これではマウントピン上をブッシュのカラーが回転し、摩耗も進んでしまいます。

リヤショックを外してみると、左右とも下のエンドアイが締まっていませんでした。ネジは適正に締めておかないと、振動で摩耗したり破損するのでフリーはいけません。

リヤ車高が高すぎるので、最短位置でロックしておきます。

ガタのあるスイングアームを外して点検します。

ピボットシャフトはスイングアームピボット左右端辺りが摩耗して細くなっています。過去にピボットの締め付けが弱くてスイングアームが動いて摩耗したものと思われます。

スイングアームピボットはこんな感じ。両端にキャップが付いています。

ベアリングはニードルベアリングです。スラストはフレームで受ける構造です。片側のスリーブを面に合わせてみます。

反対側のスリーブは1.4ミリ飛び出しています。この1.4ミリがスラストガタとなって表れていたことになります。設計が悪いのかスリーブが別のものに入れ替わっているのかもしれません。

スラストガタを減らすため、スリーブ外径より大きい径のシムを選択して入れます。

1ミリのシムを入れてみます。

ピボットシャフトは生産終了なので、程度のいい純正中古品と交換します。

リヤショックのアッパーマウントですが、奥にワッシャーを入れて対処します。

ピンの根元にはアールが付いているので、ワッシャーは大きく面取りした側を奥にします。

これでピンが短くなった状態と同じです。

マウントブッシュの方が飛び出しました。これで締め付ければブッシュが固定されます。ゴムブッシュの場合はゴムのたわみでマウントが回転(揺動)するように作られています。

カラーとボルトで固定します。

リヤホイールを取り付けようとしたら、タイヤがスイングアームに当たってチェーンが掛かりません。

18インチを組むにはタイトなスイングアームのようです。

チェーン引きはかなり前方にあったので、チェーンを2コマ長い物に交換します。

結果、チェーンは110リンクから112リンクになりました。

フロントスプロケットにもガタがありました。ナットはロックワッシャーで固定されていましたが、締め付けトルクはほとんどかかっていない状態でした。アウトプットシャフトベアリングのガタも予想されます。

シャフトを点検するとガタはありません。スプラインの摩耗もかなりあったので、ガタはスプロケナットのトルク不足が原因のようです。

フロントスプロケの変摩耗が気になったので、チェーンラインを点検します。リヤホイールでアバウトで計測したところ約90ミリなのでノーマル比3ミリオフセットくらいですね。

定盤の上でホイール周りのアライメントを精密に計測します。ホイールセンターはズレ1ミリ程度でOKレベル。チェーンラインはホイールセンターから90ミリで、先ほどの計測と同じでした。既存のフロントスプロケは11.6ミリオフセット品だったので、外側がかなり摩耗しているのと計測結果は符合します。

このリヤダイマグのチェーンラインは3ミリオフセットということで、それに近い5.6ミリオフセットスプロケに交換します。

新しいチェーンをカシメ、フロントスプロケットを15kg・mで締め付けます。オフセットスプロケは緩みやすいので強めに締めています。

修正されたチェーンラインはこんな感じ。タイヤとリヤショックスプリングとのクリアランスも大丈夫です。

続いてチェーンの適切な張りの確認です。リヤショックの接続を切り、スイングアームを持ち上げます。

アウトプットシャフト→スイングアームピボットシャフト→リヤアクスルシャフトの3軸が一直線上に並ぶ位置までリヤホイールを持ち上げます。この位置がもっともチェーンが張る位置です。

この状態でチェーンの弛みを最小にセットします。このようなスイングアームの場合は、ノギスなどで計測して、左右差を0.2ミリ以内にするといいでしょう。

現在のショック取り付け点間距離を計測します。ちなみに、現在付いているオーリンズは長いので、フルボトムでちょうどここまで沈みます。一般的なZ用ショックだと、これよりさらに沈みます。

正しくチェーンの張りを調整したら、リヤショックを元に戻します。スイングアームがかなり下に垂れていますね。こうなるとリヤアクスルはどんどんエンジン側に近づいてくるわけです。

このジャッキアップ状態でのチェーンの振れは上下で約100ミリあります。これがこの車両での最大に張った状態です。絶対これ以上チェーンを張ってはいけません。チェーンを張り過ぎると、3軸のベアリングのどこかが壊れます。チェーンはものすごく安全率が高いので、チェーンが先に破断することは稀です。


チェーンの下側がフレームに少し擦るので、ビニールホースで緩衝材を作ります。

フレームに緩衝材を巻いたところ。ガイドローラー取り付けも有効です。

アッパーマウントのボルトは、ブッシュの回転運動で緩みやすいのでネジロックを塗布しておきます。

続いてエンジン作業の続きです。ヘッドを分解し、カーボンを落とします。

燃焼室のカーボンは比較的少なめです。バルブシートは無数の点々がありますが、これはカーボン片を噛み込んでできた圧痕です。

洗浄後はこちら。この後詳細に点検します。


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