デモ車Z1000J ヘッドカバーのクラックからオイル漏れ よくあるJ系エンジンのトラブル

 

先日の筑波走行の際に発見した、ヘッドカバーからのオイル漏れを修理します。

 

外装を外します。

 

2回目の走行前に脱脂して、20分走行後がこちらの状態です。ヘッドカバーのカムチェーン周りに前から後ろまでオイルが付いています。

 

合わせ面のガスケット付近にはあまりオイルが付いていません。

 

右サイドにはオイルの付着はありません。こうなると、ヘッドカバーの左前にクラックが入ってそこからのオイル漏れだと思われます。激しく走る車両にはたまに見られる症状です。

 

ヘッドカバーを外します。

 

外観をチェックします。目立つ損傷は無いようです。

 

今回のヘッドカバーはJ系最後期のもので、この部分にリブがあるのが特徴です。おそらく、カワサキでもここにクラックが入るのは把握していて、途中から補強したのだと思われます。私の場合はよくクラックが入るので、今回はわざわざリブ入りのヘッドカバーを選んで装着していたのですが。

 

  

リブ付近にクラックがあるのがわかりますね。

 

裏側も同じ場所にクラックがあります。クラックがこのように貫通していれば、高回転、高油温の連続走行で外までオイルが漏れてくるわけです。

 

他の部分も合わせてカラーチェックしてみましょう。先ずは洗浄剤で脱脂します。

 

次に浸透剤を塗布し、赤い染料をクラックに染み込ませます。

 

裏側も同様に施工します。

 

10分ぐらい放置後、再び洗浄剤で表面の浸透剤を落とします。

 

次に現像剤を塗布します。

 

しばらくして乾燥してくると白くなってきます。

 

クラックがあると、内部に浸透した赤い染料がしみだしてくるので、目視でクラックを発見しやすくなります。

 

クラックは2センチほど進行していますね。

 

裏側も見てみましょう。

 

裏側の方がクラックは短いですが、明らかに同じ位置なので貫通していることになります。

 

他の3カ所にはまだクラックはありませんでした。今回のクラックのところにポンチでマークしておきます。

 

洗浄脱脂後、クラックの上にシリコンボンド盛ります。溶接で修理してもいいのですが、オイルがあるので溶接中に不純物として悪さし溶接の品質が悪くなりがちです。また、溶接の熱歪でカバー全体が変形するので簡単ではありません。シリコンボンドでの応急処置は意外に効果があるものです。

 

コイルに付着したオイルもふき取り、キャップもブレーキクリーナーでクリーンナップ。

 

ヘッドカバーを復元します。

 

次回の筑波走行は27日の予定です。