充電不良の修理とその他いくつかのマイナートラブル解消のご依頼です。
走行時、右旋回でハンドルが切れ込むとのことで、ステムべリングの異常をご指摘されていましたが、ジャッキアップして点検したところ、ベアリングはスムーズで問題無いようです。こちらはあとで走行チェックしてもう一度確認します。
充電は現在もしていないとのこと。
バッテリーケース下に付いているレギュレーターは、配線がチェーンの近くを通っていたので干渉したとのこと。現在はテープが巻いてあります。
込み入った配線関係も一通り点検したいので、バッテリーケースを外します。
点火系は既にウオタニSP2が付いていますが、ノーマルのイグナイターも残されたままです。隣のリザーブライティングユニットも使っていないようなので、不要なこの2点は取り外します。
バッテリーケース下のレギュレーターを外します。こちらはゼファー750タイプの流用品ですね。ハーネスの一部は溶けて溶着しています。
端子の一つも周辺のカプラーが溶けています。
痛んだ部分を切り取って取り替えます。
新たカプラーと端子で再生しました。
バッテリーケースの縁が曲がっているので板金修正します。
修正後はこちら。バッテリーケースはこの後脱脂して全体を簡単に塗装しておきます。
スプロケカバー内の配線も点検します。こちらは特に問題愛りません。S1ステップのリンクは一部がガタガタに緩んでおり、チェンジの際、サイドスタンドがつま先に当たってやりにくいそう。クラッチも軽くしたいとのことで対処します。
スプロケカバー内を洗浄後、点検します。リンクのガタは締め付けで直りました。
レリーズレバーを左側のロングアーム化してクラッチは軽くすることに。プッシュロッドのストロークが減ることによる切れ不良の懸念はあるものの、軽くなる方を優先するとのことでした。
新品のケーブルとロングレリーズアームを組み込みます。
スプロケカバーを復元し、レリーズの遊びを調整します。これでレバーは軽く操作できますが、クラッチの切れが悪いデメリットがあるので、夏場は特に要注意です。
続いてシフト周り。ノーマルのサイドスタンドとS1ステップなどは相性悪いことが多いですね。サイドスタンドを修正して対策します。
低い車高も見直そうと、エキセンは上下逆付けにしてリヤの車高を上げることにします。
エキセンを下向きにしてチェーンの張りを調整しますが、実質的なスイングアーム垂れ角が大きくなるため、リヤショックを一旦切り離し、スイングアームを持ち上げ、前後スプロケ軸とスイングアームピボットの3軸を一直線にしたところでチェーンの張りを最小に調整しておきます。前後スプロケ軸間がもっとも遠ざかるこの状態で、決してチェーンが突っ張ってはいけません。
リヤショックを復元します。先ほど弛み最小で張ったチェーンは、スイングアーム垂れ角が付くことで大きく弛みます。
この状態でチェーンの振れは上下で約7センチ。この車両はこの7センチをチェーン張りのMAXとしてください。これ以上張るとスイングアームピボットやミッションベアリングの破壊へと繋がるので要注意です。
サイドスタンドでの傾きを確認します。結構傾きますね。
サイドスタンドを外して加工します。
先ず3分割し、接合面を開削します。
真っ直ぐに並べて溶接で仮付けします。これで長さが少し伸び、設置点も内側になるので傾きが減ります。
車両に付けて長さと角度を確認します。
跳ね上げた状態も確認します。だいぶ内側に入るので、つま先との干渉は無くなります。
接合部分全体を盛って溶接します。
研磨して仕上げます。
塗装して取り付けます。
跳ね上げるとこんな感じ。
傾きもちょうどよくなりました。