エンジン交換したとのことで、公認車検のご依頼です。車両の入手時から職権打刻のエンジンが積まれ、車検証のエンジン型式も職権打刻の記号となっていました。そこで正規打刻のケースを使い、新規に製作したチューニングエンジンを搭載して正規のエンジン型式Z1Eに戻したいとのことです。
職権打刻のエンジンとなっていたため、ノーマルエンジンの型式にするのにも、わざわざ改造の届け出と検査が必要になります。扱いは改造自動車ということになり、原動機変更なので構造変更検査を受けることになします。いわゆる公認車検です。
書類一式を作成し、ナンバー管轄の陸事に出向いて書類の不備がないか確認してもらった上、検査に先立ち事前の書類審査を申請します。
車両の方はキャブセッティングと車検整備も同時に行います。
装着されているCR33は、バイパスポート加工がされたもので、ジェットニードルもZ系専用品が付いているとのこと。初めはアイドル付近で黒煙が多かったのですが、これはスクリューを2回転程戻して良くなりました。現状はスロージェットがかなり大きめなようです。
ガレージに戻り再整備。ブレーキの利きが悪いのでよく見ると、フロントのAPマスターのレバー比変更のアジャスターにロックナットが付いていません。
アジャスターボルトはかなりねじ込まれており、レバー比が小さくなっていたので効きが悪かったようです。
レバーの剛性感が悪くならない範囲でレバー比を大きくします。アジャスターボルトはロックナットで固定します。
続いてキャブの現状把握のため、一旦取り外して現在のセッティングを確認します。
整備性を上げるため、ケーブル受けのネジ山は拡大して削除しておきます。
ニードルジェットはZ系専用品のスペシャルとのことで、テーパー形状が特殊なようです。ストレート径を計測しておきます。
スロージェットは小さなものに変更します。
フューエルホースは一部硬化していたので新品交換します。
キャブを取り付けるとスロットルの動きが渋いので、ホルダーを開けて点検します。
クローズ側のケーブルが切れかかっていますね。これは後で交換することに。
グリップには開度がわかるようにマーキングします。
ウオタニSP2が付いているので、こちらの設定も確認します。
現状把握とスロージェットの変更を終えてキャブセッティングに向かいます。
レバー比を大きくしたフロントブレーキは、グリメカキャリパーと相まって良く効くようになりました。
エアスクリューも調整し、2回転戻しに落ち着きました。
スロットル低開度の確認が終わり、ジェットニードルは現状で適正と判断。次はメインジェットの選定のため高速道へ。
スロットル全開走行で評価し、メインジェットを交換してまた評価の繰り返しです。
メインジェットをだんだん小さくするにしたがって、エキゾーストノートは乾いた感じになり、吹け上りもよくなってきます。
メインジェットの選定は続きます。
メインジェットが大方決まってきたところで、ウオタニSP2の点火時期も選定します。
調布ICと八王子IC間の2往復目です。
更に点火時期を煮詰めていきます。
キャブセッティングと点火時期の最適データが取れたのでガレージに戻ります。あとは最終仕様に組みなおし、しばらく先の検査の日を待ちます。