今回はエンジンフルオーバーホールのご依頼です。合わせてエンジンとマフラーも塗装します。現在、エンジンは調子いいですが、10数年前の入手以前の整備履歴が不明で、塗装の剥がれも多くなってきたので、いよいよエンジン回りのリフレッシュとなります。ちなみにホイールなどの足回りは2015年にカスタムしたものです。
マフラーを外します。エキパイ上部の錆が酷くなってきましたね。ちなみにこちらのマフラーはPMC製のメガホンで、以前、弊社でカチ上げと延長加工したものです。
マフラーを個別のパーツに分解します。塗装はセラコートを施工します。
エンジン分解の方へ。バルブクリアランスを計測します。
カムホルダーの締め付けトルクを確認します。
ヘッドを外します。
燃焼室は大きな損傷は無いようです。ヘッドガスケットは上下反対に組まれていますね。過去に分解歴があるようです。
ボアはφ70ミリ。カムチェーンローラー関係は特に痛んでいないようです。
ピストンはノーマルです。ピストンリングの摩耗もそれほどは進んでいません。
軽くなった状態でエンジンを下ろします。
カバー類を外します。
オイルパンを外します。エンジンは5年前に弊社でミッションのアウトプットシャフトを交換したので、その際降ろしてロアークランクケースは分解しています。オイルパン内がきれいなのはそのためです。
クランクケースを分解します。
クランクを外して点検します。ベアリングはスムーズで、振れも0.06ミリとまあまあです。
点検棒はスルっと通り、いい状態です。
アッパークランクケースを点検します。
メインベアリングのノックピン穴周辺を念入りに点検します。
右から2番目の要となる部分ですが、ノックピン周辺に溶接痕がありますね。
側面にもぐるっと溶接痕があるので、大きく欠けたのを溶接で復元したようです。
ベアリングレースの収まりもいいようです。いままで10年以上特に不具合も無く走っていたので、うまく修理されているということでしょう。
アッパークランクケースも点検します。こちらにも気になる点が。
カムチェーンローラーの軸が入る溝ですが、何やら大きく変形しています。
溝はエンジン前側に大きく広がっています。
外したローラの軸には、たっぷりと液体ガスケットが塗られていました。
本来は軸の幅しかない溝です。
この状態でピッタリハマるので、ダンパーが欠落した状態で走っていた過去があるようです。
ダンパーを置いてみるとやや低いものの、こちらもこの状態で10年以上走っていたので、ボンドで固めておけば大丈夫なようです。最近はクランクケースを交換するにもなかなかいいものが見つからないので、ケースは大事に継続使用することにします。