Z1B E.Y様 フロントフォークオーバーホール 分解点検と不審なキズ

 

今回はフロントフォークのオイル漏れ修理と、ステムベアリング点検のご依頼です。

 

右のフォークからオイル漏れしています。現状、ここまでの走行で漏れるほどは酷くないようです。

 

ジャッキアップの際、伸び切り付近で引っかかるような動きを感じました。内部に何か問題を抱えているようです。先ずはフロントフォークを外します。アクスルクランプのところなどには、オイルが結構付着しており、ボトムケースを伝ってオイルは下まで漏れていたようです。

 

オイル漏れしていた右側のフォークを先に分解します。

 

ピストンロッドの最下部にあるオイルロックピースですが、大きな深い傷が多数見られます。フルボトム時に何かと干渉しているのでしょうか。

 

インナーチューブの曲がりを計測します。振れで0.06ミリあるので曲がりは0.03ミリあります。特に問題になるレベルではないでしょう。

漏れの原因となる傷を探すと、ストローク120ミリ付近に線傷があります。この傷は既に研磨された跡があるので、過去に修正された傷のようです。

 

その反対側には1ミリ大の打痕があります。おそらく飛び石で付いた傷と思われます。

  

傷の外周はクレーターのように出っ張っています。この出っ張りがオイルシールのリップを傷つけたのでしょう。

 

出っ張り部分をオイルストーンで研磨して削除します。

 

出っ張りは無くなりました。凹みは簡単には修正できないのでそのままです。

 

仕上げに耐水ペーパーでラッピングします。

 

仕上がりはこんな感じ。

 

先ほどの線傷周辺の細かい傷も、ラッピングして滑らかにします。

 

ラッピング後はこちら。

 

左側のフォークも分解点検します。左右でオイルの色が違ったので、粘度も違う状態だったかもしれません。

 

こちらのピースには傷が無く正常です。

 

インナーチューブのボトム側を比較します。左右で使われているスナップリングが違いますね。画像左側が正規のスナップリングで、2つ穴部分の低い特殊なものです。画像右側はピースに傷のあった方で、通常のスナップリングが使われています。

  

通常のスナップリングの方にロックピースをはめてみると、ちょうど傷のある部分でスナップリングに当たり、それ以上奥に入りません。これは要修正です。

 

42番の正規のスナップリングはもう生産終了なので、削って干渉しないように修正します。