シリンダーを洗浄します。
長年のオイル漏れにより、カムチェーントンネル周りは、泥や砂が付着してフィンの間や冷却風の通路が埋まっています。
細いドライバーで詰まった汚れを崩して取り除きます。
洗浄と、オイルストーンによる上下デッキ面の修正仕上げが終わりました。
シリンダー間は全てこのように冷却風の通り道が貫通しているのが本来の姿。空冷エンジンはフィンの奥まできれいに保ってあげましょう。
次に、ヘッドの分解点検と洗浄です。今回はコストを抑えてエンジン腰上のオイル漏れ修理が主な目的です。
バルブを外します。ガイドとステムのガタも比較的少なめ。
カーボンの堆積は多めですが、シートリングの摩耗は少ないようです。
バルブは継続使用するので、ボール盤にくわえて回転させながらサンドペーパーでカーボンを落とします。
バルブのカーボン落としが終わるとこんな感じ。
8本とも曲がりも無くまだまだ使えます。
ヘッドは燃焼室とポートのカーボンを落とし、デッキ面をオイルストーンで修正して仕上げます。
よく問題になるカムホルダーの雌ネジですが、インテーク側は問題ありませんでしたが、エキゾースト側2本がトルクが掛からない状態でした。念のためエキゾースト側8ヶ所全てヘリサート加工しておきます。先ずはドリルで下穴を開けます。
ヘリサートタップでネジ切りします。
挿入工具にヘリサート2個とカラーを3段重ねにしているのは、挿入時に穴奥にヘリサートを押し付けるため。実際に挿入するのは、先端のヘリサート1個です。ヘリサートは長さが呼び径の2倍ある2Dサイズを使用し、十分なネジ長さで強度を確保します。
ヘリサートを挿入します。
エキゾースト側8ヶ所全てにヘリサートを入れます。
ヘッドの修理が完了しました。再度洗浄して組み立て開始。初めにスプリングシートをセットし、新品のバルブステムシールを取り付けます。
研磨したバルブを組付けます。スプリングなど主要な部品は全て継続使用です。
続いてピストンです。こちらも大きな問題はないので継続使用します。摩耗の多いピストンリングは、せっかく純正新品が買えるので新品交換しておきます。
新旧のピストンリグを比較してみましょう。
左から、旧2ND 旧TOP 新2ND 新TOP の各リングです。旧リングは摩耗が進み全面がシリンダー壁に当たる「ベタ当たり」状態です。通常は新品から数万キロ走行でこうなります。2NDリングは下側が大径のテーパーフェース、TOPリングは中央が高いバレルフェースです。詳しくはググってみてください。
新品の純正ピストンリングをセットします。それにしても、40年も使用したピストンがこのようにまだ現役でいられるのが素晴らしいですね。