エンジンマウントインシュレーターを交換します。前回、別の修理の際に発見していたので、日を改めて今回日帰りでの作業となりました。
エンジンを上に持ち上げるので、イグニッションコイル、キャブ、クリーナーBOXなどを外します。チェーンやフロントスプロケットは外さなくても大丈夫です。
現状は、過去にインシュレーターの交換歴は無く、リヤのマウントボルトは少し曲がってきています。クランクケースにも少しダメージがあるので、早めの交換をお勧めしていました。
エンジンをジャッキで支え、マウントボルトを外します。
リヤのマウントボルトです。チェーンラインの当たりでくの字に曲がっています。古いJ系は全てこうなっているとお考え下さい。もっと酷く曲がると同時に、クランクケースへのダメージも大きくなり、取り返しがつかなくなります。
リヤのマウントボルト部分の純正カラーはこんな形状をしています。端面は大きくラウンドしており、接触する平面が狭いことがわかります。
この狭い接触面が、アルミでできたクランクケース側を削って変形させていくことになります。
今回は接触面を増やすよう、ジュラルミンで作ったカラーに置き換えます。これはチェーン側だけで十分です。
インシュレーターが露出するまでエンジンを持ち上げます。
エンジンのフロント側を主に持ち上げればOKです。
イグニッションコイルを外しておけば、ハーネスやオイルホースはそのままでOK。
インシュレーターを外します。エンジンは上から塗装されてきれいでしたが、インシュレーター部分は腐食が進んでいたのがわかります。
外したインシュレーターがこちら。40年ほど前のゴムなので、すっかり硬化して振動吸収能力も落ちています。
ブラシでサビや泥汚れを清掃します。
交換する部品はこちら。現在でも全て純正部品が揃うのでありがたいですね。交換がまだの車両は部品だけでも先に調達しておくことをお勧めします。
新しいインシュレーターを圧入します。
フロント上左側にこのU字型スペーサーを入れるのをお忘れなく。
このスペーサーが入っていない車両も散見されます。スペーサーを入れずに組むとエンジンが左に向くのでご注意を。フレームやインシュレーターに無理なストレスもかかります。
エンジンマウントを規定トルクで締め付けます。リヤマウントは真っ直ぐになりました。
バッテリーケーブルが劣化しているので合わせて交換します。こちらも純正部品が入手可能です。
アース線が1本切れてなくなり、素線も数本切れ、腐食も進んでいました。
バッテリーがぐらつくので外して点検します。トレーも欠品していますが、奥のダンパーが付いていませんね。
ダンパーは2個とも新品交換します。こちらも純正部品が入手可能です。
ダンパーを取り付けます。
エンジン補器類を復元します。
エンジンが正規の位置に戻ったので、チェーンが少し張り気味になりました。適正に再調整します。
正味3時間ほどで作業は終了。ライダーが感じるエンジン振動も少し減り、より快適になりますよ。