Z1Rのクランクケースをほうぼう探しましたが、やはり希少なので手ごろなのはなかなか見つかりません。そこでストックのこちらのエンジンからケースを移植することにしました。
このエンジン、実はZ1000STのものでエンジン型式は「KZT00EE」となります。Z1Rは「KZT00DE」なので異なりますが、形は一緒なので原動機変更の改造申請をすれば使えます。
おまけにずっと保管しておいたのはこれが理由です。エンジンマウントの一部が削られています。おそらくエンジンを下ろす際に切断したのでしょうが、これを先ずは修理しないといけません。
先に元のエンジンを分解します。クランクケースロアーを仮組してエンジンを正立させます。
ヘッドカバーを外してカムホルダーネジのトルクをチェックします。何本かトルクが抜けているので、ヘリサート修理が必要のようです。このエンジンを最後に分解したのは2019年5月で、その際は腰上を分解してカムチェーンローラーなどを交換しています。腰下は今回が初めて。
ヘッドを外します。ピストンは純正の0.5ミリオーバーサイズで、カーボンの体積はまだ少ないですね。
燃焼室はこんな感じ。こちらも比較的きれいです。
カムチェーンローラーはソリッドなレーシングタイプなので劣化はありません。
シリンダーを外します。ピストンとシリンダー壁も大丈夫。
シフト関係も全て外します。
全ての部品を外してクランクケース単体となりました。
希少なZ1R2のケースですが寿命となりました。40年間ご苦労様でした。
続いてドナーとなるSTエンジンを分解します。
分解前にマウントの削れを修理します。
溶接で盛り上げます。
元の形状に削って仕上げます。
ボルト穴を開けて完成です。
それでは分解していきます。クラッチが6本止めなのがSTの証。入手時からチェーンドライブに変更されていたので、シャフト機構はありません。
エンジンを反転させてオイルパンを外します。
クランクケースを分解します。ここまでネジの痛みもなくコンディションは良好です。ミッションの痛みも少ないので、丁寧に乗られていたようです。
ミッションベアリングのハウジングも少し曇りはありますがまずまずです。
STのケースは十分使用に耐えることが分かったので、このまま作業を進めます。