継続車検のタイミングでの入庫ですが、先日走行中にミッションから異音がして直ぐに停止したとのこと。その後もアイドリングやゆっくり走っているときにミッションからゴロゴロと音がするとのことで、その修理も行います。先ずは現状把握で試運転へ。
走り始めは異音がしないので、いつものテストコースに向かいます。ゆっくり走っていると途中から時々異音がするようになったので、異音がする条件を特定します。どうやら1速2速とニュートラルで異音が大きくなるようです。
修理が必要なレベルと判断し、ゆっくり走ってガレージに戻ります。
オイル交換もするのでマフラーを外します。
エンジンオイルを抜きます。まだ熱いので勢いよく出てきますが、何か異物も出てきました。
ドレンボルトのマグネットには鉄粉以外に大きめの破片がいくつもついています。
大きな破片を並べてみるとこんな感じ。
その形状から出所はわかりました。
上が新品のアウトプットシャフトベアリングですが、ここに同じ形状のパーツがあります。
ベアリングの球を保持しているケージが同じ形ですね。
ミッションベアリングの破損が考えられるので分解点検します。
スプロケットカバーを外します。
ミッションのアウトプットシャフトに大きなガタがあります。やはりベアリングが破損しているようです。その動画がこちら。
スプロケとオイルシールを外します。
内部のベアリングに保持具は無く、ボールは傷だらけになっているのがわかります。
動画はこちら。
ミッションベアリング交換が決定したのでエンジンを下ろします。
まだ暖かいエンジンを下ろします。
オイルパン内にまだ破片が残っているようなので、半分傾けて先にオイルパンを外します。
オイルパンを外すといくつもの大きな破片が出てきました。それより奥に破片がないことを確認してエンジンを反転します。
左右のエンジンカバーを外します。
クランクケースロアーを外します。
外したロアーケースを点検します。
アウトプットシャフトベアリングのハウジングは摩耗して拡大しています。クランクケース交換も必要です。
ミッションを分解点検します。
ベアリング破損に伴い、周辺のパーツにも被害が及んでいました。
アウトプットシャフトは、ベアリングのインナーレースが回されたのか、かじった痕が一周筋になって付いています。これくらいなら研磨して修正できそうです。
アウトプットの2NDギヤです。ドグ溝の角が大きく削れています。これは要交換です。
ドグが対になる3RDギヤです。こちらも角が大きく摩耗しているので要交換です。
破損したアウトプットシャフトのベアリングはこちら。ここまで壊れると初めの原因を特定するのは困難ですが、エンジン腰下は分解歴がないようなので、40年間の疲労の蓄積かもしれません。