今年2台目のワークスS1化のご依頼です。こちらも弊社のデモ車1号と同じ仕様で製作します。エンジン実動で入手したベース車とのことで、変更する外装やマフラーなどは、予め取り外しておいていただきました。
早速、不要な部品を外して仕訳けます。使うのはほぼフレームとエンジンのみといったところ。
入庫した状態から、更に不要な部品を外してまとめたのがこちら。ノーマル部品はほとんど使わないか更新されます。
エンジンは実動とはいえ、走行はしていないそうなので中身が心配です。全分解して点検します。
ヘッドカバーボルトのネジ山は、インサートで修理されている箇所がだいぶあります。こちらは抜けてきていますね。
バルブクリアランスは概ね良好ですが・・・
カムホルダーネジのトルクは、その多くはかかりません。ほぼゼロのところも何本もあります。
×印を付けたところがトルクの掛からないところです。全数、ヘリサート修理が必要のようです。
シリンダーのM6ネジもトルクが抜けています。
エンジン部品の接合面には、必要のない所まで大量の液体ガスケットが塗られています。こういう作業は、経験のあるプロの仕業ではないことがわかります。エンジン分解では、いろいろなトラップが見つかるかもしれません。
ヘッドを外します。ピストンは純正のようです。
ピストントップには「1.0」の刻印があります。純正の1ミリオーバーサイズピストンです。
センターOリングのところにも大量の液体ガスケットが塗られています。
燃焼室には大きな損傷はないようです。ヘッドは少し面研されていますね。
ピストンリングはかなり消耗しているので、エンジンオーバーホール後、数万キロは走っているでしょう。
4隅のシリンダースタッド穴はオイル通路になっています。特に後ろ側の2ヶ所は、クランクケースからヘッドにオイルを送る通路となっているので重要です。
ヘッドガスケットにも大量の液体ガスケットが塗られており、スタッド穴にも大量にはみ出しています。Oリングの内側に見えるのが、はみ出して固まった液体ガスケットです。
Oリングを持ち上げてみます。これではオイル通路が塞がって、ヘッドに十分なオイルが供給されていなかったかもしれません。
シリンダーベースにも大量の液体ガスケットが。オイル漏れを心配する、作業者の自信の無さの表れです。