予定のヘッドガスケットが入荷したので組み立てを再開します。ピストンはPAMS製PISTALピストンφ76ミリで、ヘッドガスケットは厚さ0.9ミリを使用しています。シリンダーはZ1100R用。
ヘッドを組付けカムを組み込んだら、バルブクリアランスが微妙に狭いので修正します。現在最薄の2.00ミリのシムが入っています。
バルブステムエンドの切削をもう少し増やそうと思い、再度ヘッドを外します。
エキゾーストの1番4番がバルブクリアランスがやや狭め。まずは4番から修正します。
エキゾーストバルブのステムエンドは、4気筒とも一律0.2ミリほど研磨済みでしたが足りていませんでした。コッターからはまだ少し飛び出しているので、もう少し研磨します。
直角を保ちながら更に0.1ミリほど研磨します。
研磨したら角を面取りしておきます。
バルブを組付けます。
ステムエンドはコッターからわずかに出ている状態。研磨はほぼ限界です。
最薄の2.00ミリのシムを乗せてみます。リテーナーよりシムが高いことを確認します。
リフターを取り付けます。
ヘッド単体でバルブクリアランスを調整します。今度は規定値内にバルブクリアランスを設定できるようになりました。
再びヘッドを組付けます。
カムホルダーネジを締めたら、1本ネジが上がってきました。既にヘリサートが入っている所なので、ヘリサートを取り出して更に深い所にヘリサートを設置しなおします。
ドリルで下穴を深くします。あまりやりすぎるとオイル通路と貫通するので要注意。
奥までヘリサートタップでねじ切りします。
新しいヘリサートを挿入します。実際に入るのは一番先頭の1個だけです。真ん中のヘリサートとカラーは、深穴にヘリサートを設置するときに押さえつけるための工夫です。
最初、押し付けながらヘリサートを挿入していきます。
底のほうにヘリサートが設置出来ました。ねじ込み用のトングを折り取ります。
折ったトングを必ず回収します。
穴の深さは約57ミリあります。ボルトは55ミリでいいでしょう。
トルクチェックしますが、数回行ったらまたトルクが抜けてきました。
最後の修理方法はM8ネジ化です。修正すべくもう一度ヘリサートを取り出します。
M8のタップでねじ切りします。
M8ボルトはノーマルのM6フランジボルトとほぼ同じ45ミリを使います。このままだと頭が高く、ヘッドカバーの裏側に当たってしまうので修正します。
頭を低く削ります。既にほかの2か所は、過去にM8化していました。今回、ダウエルピンのある所をM8化するので、ここのダウエルピンは無しになります。
カムホルダーの穴も拡大します。
トルクチェックします。
もうトルクは大丈夫です。トルクはM6の時と同じ値にしています。
カムを取り付けます。エキゾースト側は4本がM8となりました。
バルブタイミングを設定するので、先ずは上死点を正確に割り出します。
バルブタイミングを設定します。
再度トルクチェックしたところ、別の1か所がトルク抜けしたので修理します。ネジ穴を深くして、ヘリサートを深い所に設置しなおします。
ボルトはこれだけの長さのものを使用します。
長くしたボルトは、締め切りでホルダーより沈むことを確認します。
カムを組付けます。トルクチェックも全てOKです。
ヘッドカバーを付けてレース用エンジンの完成です。このエンジン、いろいろなところを修理しながら使っていますが、それぞれの修理箇所の耐久性の確認にも役立っています。