シリンダーが完成したのでエンジンを組み立てます。今回のシリンダーは井上ボーリング製のICBMシリンダーです。ピストンはPAMSが企画したイタリアのピスタルレーシング社製の軽量ピストンで、ボアはφ76ミリです。
ICBMシリンダーは現行の高性能車と同様に、アルミスリーブ内面にメッキしたシリンダーで、耐久性が高く、軽量なのも特徴です。シリンダー内面は面粗度を上げるプラトーホーニング仕上げもセットになっています。
ノーマルの鋳鉄スリーブから軽量なアルミスリーブになったので、シリンダー重量が大幅に軽量化されています。手に持つと重さは半分くらいに感じるほどです。
アルミスリーブなので肉厚は少し多めに3ミリは必要です。ボアがφ76ミリなのでスリーブ外径は約82ミリあります。
もともとビッグボア用にボーリングして使っていたクランクケースでしたが、今回更に内径をφ83.5ミリまで拡大しました。
手彫りしていたところにφ83.5ミリの削り痕が付きました。
ケースとシリンダーを仮組します。
スリーブとケースのクリアランスを確認します。
クリアランスは片側約0.25ミリと最小に抑えてあります。
ピストンはこちら。メーカーの PISTAL RACING は4輪レース界でもメジャーで、軽量ピストンの草分け的存在です。軽量化にはやや不利な、ピンハイトの高い設計の旧車のエンジンにボルトオンのスペックで作られていますが、それでも社外ピストン中の最軽量と言えるでしょう。本来はこの半分くらいのピンハイトに収まる設計が可能なので、長いコンロッドかロングストロークのクランクと組み合わせると面白いかもしれません。
裏側はこんな感じ。中空のブリッジ構造が特徴です。短いピストンピンも軽量化に大事な要素です。
このφ76ミリピストンは、リングとピンを含めた重量が約278gです。
因みに同じφ76ミリのコスワースピストンは約348gです。
新しいスタッドボルトを取り付けます。
クランクは点検して継続使用します。因みにクランクはGPZ1100純正で、コンロッド小端部にブッシュを入れてφ17ミリにしたものを使っています。
ハイカムとレースユースで酷使しているカムチェーンは新品交換します。
アッパーケースにクランクをセットします。
ミッションをセットします。クラッチとミッションもGPZ1100の物を使っています。クラッチ板はノーマル、クラッチスプリングは強化品です。
エンジン腰下を組み立てます。
エンジンカバーを取り付けます。
エンジンを正立させ、ピストンを組み込みます。
シリンダーを挿入します。