S1シート製作の一環として、シートスポンジにもこだわったバージョンも製作していただこうと思い、スプリームシートで有名な浜松のトゥーズカスタムさんにやってきました。こちらは浜名湖東岸の湖畔、画像中央電信柱の奥の方に工場建屋があります。
こちらが工場建屋。 外から見るとバイクの匂いは感じられません。
入口には小さなステッカーがあるのみです。
早速お邪魔して綿密な打合せをします。シート形状は、持ち込んだ手前のS1シートマスター型と同じにしていただきます。工場内部は企業秘密でいっぱいなので、見学はできましたが画像の掲載はNGです。
表皮は一番近いタイプのこちらを使用します。某国産大手ゴムメーカー製で、バイクシートに適した性能を有したビニールレザーです。バイクメーカーも純正採用しています。
S1シートのタックロールの格子模様を形造っている製法は高周波ウェルドといい、型押しする際にビニールレザーを高周波で溶着させ、模様の形成や接着を行います。直線は既成の金型で加工できますが、カーブは専用の金型を新たに作る必要があるので、今回は直線のみ高周波ウェルドを使い、外周はステッチにて再現する方法となりました。
トゥーズカスタムさんオリジナルのスプリームシートに使う専用のスポンジはこちら。上がハードで下がソフトです。低反発でもなく高反発でもなく独特な感触。なぜか高野豆腐を連想しました。外側は上面から側面に至るまで全面にこのハードスポンジを敷き詰めるので、持ち込んだ加工済みシートのスポンジは厚く一皮むかれるとのこと。
現在のスポンジは純正を加工した物ですが、当時のメーカー品質はあまり良くないというお話が。案の定、表面にあった亀裂をめくると一皮むけて内部は2層になっていました。こういう剥離した層がスポンジ内部にあると、ライディングの際の前後体重移動でズレが生じ、車体からのインフォメーションがライダーにダイレクトに伝わり難いそうです。なのでスプリームシートを製作する場合は、このようなスポンジの欠陥部分は全て取り除くとのこと。かなり大掛かりな作業になることが伺えます。
手を入れてみると内部は広範囲に剥離していることが判明。
これは、製造時のガス抜きの際の行程に問題があると発生する欠陥だそうです。その他、外側の劣化したスポンジ層なども全て削り取って置き換えるとのこと。純正スポンジはシートベースと接しているわずかな厚みを残して広範囲にスプリームシートスポンジに置き換わることになりそうです。
スプリームシートについて、詳しくはトゥーズカスタムさんのサイトをご覧ください。