時間ができたので、在庫のエンジンとヘッドなどの現状把握を進めます。
先ずはヘッドから。過去に使っていたエンジンから外したものや、ヘッド単体で入手して履歴のよくわからないものなど様々です。基本的には何かしら問題を抱えているものがほとんどです。その程度を調べます。
ひとつ目はこちら。先日、お客様のZ1000R2をレストアする際に下したヘッドです。
レストアの際に容易に重大な欠陥が確認できました。
カムホルダーのトルクはほとんどが掛かりません。
カムホルダーを外してヘリサートの有無を確認します。穴を除いても良く解り難い物は磁石を使って判別できます。ヘリサートコイルは磁石に付くので、付けばヘリサート入りです。16ヵ所全てにヘリサートが入っていたので、それにトルク抜けがあるとすれば修理には困難が予想されます。
バルブを外してガイドとステムのガタを計測します。2ヶ所は0.2ミリ以上あり、摩耗限度を超えています。
摩耗が大きかったエキゾーストの1番2番は、ガイドに磁石が付かなかったので銅系の材料に作り変えられていたことが解ります。エキゾースト3番は磁石が付きましたが形状が違うので鋳鉄系の材料で作られた社外品と解りました。
このヘッドを交換する決め手になったのはこちらの修理痕です。エキゾーストバルブのシートリング周りに丸い打痕のような穴が9個あります。正確な目的は不明。バルブシートも全体的にカーボン噛み込みなどで酷い状態です。このヘッドを再生するのはコストがかかり過ぎるでしょう。現実的には廃棄せざるを得ません。
計測に使いたいので程度のいい1000Jのノーマルバルブを探そうと、エンジン小物のストックの整理も行います。バルブは見つかりましたが、この半分くらいは今回整理の対象になりました。
きれいなバルブをセットして、ステムの突き出し量を測ります。
断面図で見るとこの高さを測ります。これを測ることで今までのバルブシートカット量が推察できます。カット量が多いと、次はシートリング交換となり再生コストが大幅にアップします。
基準は38ミリ以下であることです。マニュアルにはこのように記載されています。
チェック項目が多いので、リストを作って細かく記録しておきます。
2番目のヘッドです。こちらは以前に自分で使っていたものです。当時のメモも付いています。
プラグのネジが引っかかるので、タップを立ててからトルクチェックします。因みにこちらのヘッドはプラグホールにクラックがあるので使用を中止したものです。今となってはその程度によっては使うことも充分あり得ます。
ガイドのガタは限度値内です。ガイドも全て純正のままです。こんな感じでカルテを作っていきます。