エンジン腰下組み立ての続きです。スタータークラッチの締め付けトルクを確認します。問題ありません。
クランクに子部品をセットします。
マグネットローターを取り付けます。
ステーターコイルはきれいなので交換歴があるようです。
ジェネレーターカバーを取り付けます。
反対側のカバー類も完了です。
作業スペースができたところで、ヘッドの分解点検をします。
タコギヤを取り外します。Oリングはヘタり、ここも液体ガスケットで埋められていました。
オイルシールはこの向きに取り付けられており、裏表逆だったのが解ります。
リフターを外します。リテーナーの大部分が純正ではないようです。ステンレスでしょうか。
ステムエンドが限界まで研磨されており、コッターとほぼ面一です。エンドの研磨は平面ではなく中凸なので、リフター側も中心が摩耗しています。インテーク側4ヶ所ともこれと同じです。
バルブスプリングを外します。純正ではなく強化スプリングが付いていました。
1番インテークのアウタースプリングは折れています。エンジン異音の原因はこれかもしれません。
これでも普通に走れていました。
バルブスプリングの奥にあるスプリングシートは、シム入りの特殊な物でした。
シートの一部は破損しています。
不明なリングも見つかりました。
まだ一つだけシムが取れずに残っています。
引っ掻け工具を作ってシムを取り出します。
工具を下に潜り込ませます。
なんとか持ち上げられました。
シムを外すと、バルブガイドのサークリップが一部飛び出しています。ガイドは磁石に付かないので、純正の鋳鉄ではなく銅系の材質です。よって、過去に全部交換されています。
サークリップは図の6番の部品です。
キャブホルダーも外します。ポートは軽く研磨されています。
燃焼室のカーボンを落とします。
燃焼室にクラックなどは無いようです。
バルブのカーボンを落とします。
全て洗浄完了し、ガイドのガタを計測します。
8ヶ所とも限度値を大幅に超えるガタがありました。
使用限度は約0.25ミリ、計測値は0.43から0.70ミリです。
バルブも全数のステムエンドが研磨されています。
中2本の新品バルブと見比べるとこんな感じです。
シートカット量が多いようなのでチェックします。1番に新品バルブをセットします。
バルブステムの取り付け高さを計測します。約38ミリ以上あると薄いシムでも足りなくなります。
取り付け高さを計測します。
結果は約38.2ミリです。ステムエンドの最大研磨代は0.3ミリなので、純正シムでの調整は困難で、シートリングの入れ替えが必要です。
現状のシムもほとんどが最薄よりのシムです。
ヘッドは大幅な修理が必要となりました。シートリング交換、バルブガイド交換、バルブ&スプリングなどの子部品全交換です。