ステムベアリングを交換します。

先ず、フレーム側のアウターレースを抜きます。テーパーローラーベアリングのレースなので、引っかかりがほとんどありません。ボルトを溶接してそれをたたいて打ち抜きます。

無事外せました。

フレームのアッパー側は比較的きれいです。

ロアー側は、過去にレースを打ち抜く際に傾けてしまったようで、斜めにえぐれた痕があります。

えぐれの縁は出っ張っているので、鋸刃のスクレッパーで削り取ります。

新しいアウターレースを圧入します。

奥まで入っているかわかりづらい場合は、シックネスゲージを使って隙間が無いことを確認します。

ローアステムを準備します。

フォーククランプ部にサビが多いので、ワイヤーブラシでサビを落とします。

ベアリングの座面も圧痕の反動で出っ張りがあるので修正します。

出っ張りをヤスリで削り、オイルストーンで均します。

簡単に塗装します。

新しいベアリングを圧入します。ダストシールとしてタンクキャップのパッキンを使います。

はめるとこんな感じです。

ロアーステムを取り付けます。スムーズに回転するようになりました。

ダストシールはこんな感じです。

フォークを取り付けます。

ハンドルクランプの裏側のワッシャーが変形してはみ出していますね。交換してから取り付けます。


ハンドル、ホイールと取り付けます。

フロントマスターのクランプですが、ボルトが短いのでワンサイズ長い物に交換します。


これで安心して握れます。

マフラーステーはクラックがあるようです。

溶接ビードからパイプ本体に掛けてクラックがあります。

マフラーを外します。

クラックは更に裏側の方にまで伸びていますね。

エキパイは底打ちも酷く、パイプがかなり潰れています。

断面が3割ほど減っているようなので、高回転ではパワーダウンになってしまうかも。サビも酷いのでマフラーは交換時期でしょう。

プラグコードを外します。

キャップ内の端子には腐食があります。

プラグ側のターミナルも3本は緩んでいました。摩耗したりスパークで消耗するので、定期的な確認が必要な箇所です。

ヘッドカバーを外します。

1番圧縮上死点のマークがサビでよくわかりません。同型のガバナーと見比べて割り出します。バルブタイミングは正常ですが、ヘッド上面とカムスプロケのマークがズレるので、カムチェーンはだいぶ伸びているようです。テンショナーの調整もされていないので、レンチでクランクを正逆転するとバックラッシュがかなりあるので、カムチェーンは大きくたるんでいるでしょう。

トップアイドラーもガタが多めです。

バルブクリアランスは概ね正常です。

カムホルダーのトルクも概ねOKです。

カムチェーンテンショナーを外します。ノーマルのマニュアル式なので、オートテンショナーに交換しましょう。

カムを外します。

事前の情報通り、ヨシムラステージ1カムです。

シリンダーのM6ボルトは、片方のネジが舐めています。

ヘッドを外します。ヘッドガスケットが上下逆さまですね。

テンショナーローラーなどは比較的きれいです。

ヘッドの燃焼室側も目立った問題は無さそうです。

エキゾーストスタッドの1ヶ所は、溶接できれいに修理されています。

ヘッドガスケットは上下があります。こちらがシリンダー側。ボアのグロメットが円形です。

こちらはヘッド側、グロメットが少し楕円形です。

シリンダーを外します。

ピストンは純正ですね。

ピストンリングは摩耗してベタ当たりしています。

ボアは1ミリオーバーサイズのφ65ミリでした。

ピストン上面に1.00の刻印が確認できます。

シリンダーボアも比較的きれいです。


カムチェーンはローラーにキズがあります。

たるんだ状態でスプロケットの刃先に乗り上げたのでしょうか。ほとんどのローラーに同様のキズがあります。

カムチェーンは要交換なので、エンジンは下ろして全分解となります。
