最近入手したとのことで、S1スイングアームが持ち込まれました。
取り付けに当たって点検します。
履歴が不明なので一通り点検します。
ピボットベアリングにはゴリ感があるようです。
塗装済みとのことなので、塗装前のサンドブラストのメディアが入り込んでいるようです。
スリーブも腐食しています。
ベアリング類は純正と同じサイズのようです。
ベアリングを取り外します。
ピボットの内部構成はこんな感じ。ノーマルと同じですね。
ベアリングのハウジングも特に問題無いようです。
ベアリング、カラー、オイルシール、全てノーマルと同じなので純正品が使われているようです。
エキセントリックは片側が緩く、もう一方は手では容易に外せないほどきつい状態でした。
きつかった方をよく見ると、内面にカジッた痕があります。
線キズが半周ほどあり、キズの両側は盛り上がっています。
キズの終わりには、焼き付いて溶けたアルミが付着しています。
約0.2ミリほど盛り上がっています。
エキセントリックにも同じ位置にキズがあります。
エキセンはS1タイプに変更するので交換します。
ハウジング側は、凸部を削って修正します。
円筒の当て物をして、サンドペーパーで凸部のみ削りとります。
凸部が無くなると、回転は重いですがエキセンはスムーズに回るようになりました。
回転の重さの原因は、ハウジングの歪によるもののようです。
図のように、割りの部分が上下でズレています。
補修の痕は無いのでスイングアーム製作時の熱歪の影響でしょうか。
最後にピカールで磨いておきます。
元のエキセンは、形状からGPZ750の純正品のようです。
アクスルシャフトの抜き差しもかなり渋い状態です。
アクスルシャフトの曲がりを点検すると、首下5センチ辺りで大きく曲がっています。
新品のシャフトでも渋いので、どうやら右側が少し高いようです。
両側からシャフトを通してみます。
ガタの真ん中くらいで付き合わせてみると、右が1ミリほど高いようです。
実走行に影響がでるほどではありません。
新しいシャフトは、ZZR400純正の中空シャフトを使います。
部品番号は41068-1350です。ナットは汎用のM18細目のセルフロックタイプです。
ZZR400のシャフトを通してみます。
シャフトを潤滑し、レンチを使って回しながら挿入すれば入っていくレベルです。
突き出しはこの位。
ナットを付けるとこんな感じです。レース用にピン穴は残しておきます。
サス受けの内幅も右側は少し狭い感じ。20ミリまで拡大する必要があります。
一番気になる点がこちら。
補強板の付け根当たりのパイプにクラックのようなV字のキズがあります。
補強板に隠れてよく見えませんが、補強板のRに沿ってパイプにV字の切れ込みのようなものがあります。
クラックだと危険なので、補強板を少し切開して内部を点検することにしました。