スイングアームは上側に補強がありますが、バッテリー後方のフレームとのクリアランスがあまりありません。そこで干渉しないか点検します。
リヤショックのアッパーマウントは、両側共ナットのトルクがかなり弱めでした。

リヤショックを外しますが、アッパーマウントが固くてなかなか外れません。

右側はピロボールの外輪とリヤショックの圧入部分で抜けてきてしまいました。

エンドアイのベアリングは、輪留めも無く圧入のみです。

フレームに残ったピロボールは、きつくて全く抜けません。

そこでプーラーを使って抜きます。

ようやく外れました。

フレーム側にはオーリンズのワッシャーが残っています。

そのワッシャーを取ると更にもう一枚ワッシャーが嵌っています。

最後のワッシャーを取ると、フレーム側はかなり座屈しています。ナットのトルクが不足していた原因はこれですね。ガスケットのように柔らかいアルミワッシャーが使われていました。

上下マウントのスパンを計測します。

上下ともほぼ同じスパンでした。

マウントピンの径を測ると、右側の根元はややプラスでできています。これでは軽圧入になってしまいますね。

整備性が悪いので、径の太い所をペーパーで削って修正します。

続いて、スイングアームを持ち上げると、やはり補強部分が早々にフレームに干渉して止まってしまいます。最も持ち上げた状態でこの状態。リヤショックのストロークからフルボトム時の長さを割り出すと、スイングアームのストロークは完全に不足しています。

干渉箇所はこちら。バッテリー後ろの左右橋渡しの一部と補強パイプの前側です。

他にも補強の横パイプもほぼゼロタッチです。

干渉するフレーム側に逃げを作ります。これでもストロークはやや不足します。

そこで、リヤショックの全長も伸ばして対応します。現状はアジャスト幅10ミリのうち5ミリ伸ばしてある状態なので、あと5ミリ伸ばします。

調整幅いっぱいまで伸ばした状態がこちら。

リヤショックを取り付けてみると、ロアのエンドアイのネジとスイングアームも干渉する箇所があります。

このままだとアッパーマウントの角度までリヤショックが倒れないことになります。ネジ部に付いていたキズはこのせいですね。

削る部分にマーキングします。

逃げ加工後はこちら。反対側は個体差でここは多少余裕がありました。

これでリヤショックはアッパーマウントより少し深く倒れるようになりました。

削った部分はタッチアップしておきます。

オーリンズのアッパーマウントの構成部品はこちら。ピロボールを挟んでゴムのダストシールとアルミのスペーサーワッシャーが付きます。

元の柔らかい材質のワッシャーは止め、ステンレスワッシャーを内径ピッタリに加工したものを挿入します。面取り部分を奥にします。

これでアルミのスペーサーワッシャーの座屈も防ぎます。

スペーサーワッシャー、ダストシールとセットします。

リヤショックをセットします。

外側も同様に。

反対側も同じ構成です。

左右のカラーを新規製作し、ホイールセンターを4ミリ右に移動して、初めてスイングアームの中央にタイヤが来ました。


やはり分厚いタイヤが似合いますね。
