エンジンの腰下を分解します。
ピストンはノーマルのΦ70ミリです。
トップにはカーボンがかなり分厚く堆積しています。
ピストンリングも摩耗してベタ当たりしています。
オイル取出しブロックは、短いボルトで組み付けられていました。これではケース側の雌ネジを痛めてしまいます。
スターターモーターの取り付けボルトは1本欠品しています。
モーターを外してみると、ケース側にボルトが1本折れ込んでいました。
スターターモーターのOリングは、硬化してヘタっています。周辺がオイリーだったのはこのせいでしょう。
ジェネレーターカバーを外します。
マグネットローターは回転方向にガタつきます。ボルトは緩んでいないようです。
マグネットローターを外します。クランクのテーパー部はきれいですね。
スタータークラッチのと締め付けトルクを確認します。こちらは問題ありません。
スタータークラッチを分解します。
マグネットローターのノックピン穴周辺は欠けています。ローターは軸部分の鉄部品と周りのアルミ部分が剥離してかなりガタが出ています。
マグネットローターは要交換ですね。
ガタがわかる動画はこちら。
フロントスプロケのナットは締め付けが緩く、シャフトのスプラインは叩かれて摩耗しています。
スプラインを洗浄してよく見てみます。段付き摩耗が解ります。Mk2のシャフトが付いており、良好な中古シャフトは入手困難なのでこの程度なら継続使用するしかないでしょう。
シフトシャフトもセレーションが潰れています。
このままではガタが出やすいので、リプレイス品に交換します。
他のエンジンのカバーを外します。
エンジンを反転します。
オイルパンを外します。スラッジがかなり堆積していますね。
指で擦ると、粘っこいメタリックなスラッジであることが解ります。
クランクケースボルトを外していきますが、どれもかなり渋く、1本は折れてしまいました。
ボルトが全部外れたところで、ケースを分離するためにジャッキボルトのネジ穴を利用します。ネジが渋いのでタップを立てます。
ジャッキボルトでケースを分離します。
後ろ側もジャッキボルトを使います。
ボルト穴にはクラックがありますね。ボルトにネジロックが塗られていたことからも、過去にクランクケースは分解されていることが解ります。
クラックを広げないように慎重にジャッキボルトをねじ込みケースを分離します。
ロアーケースを分離します。
ミッションのドグなどは特に異常な摩耗は無さそうです。
クランクを取り出して点検します。ベアリング類は全てスムーズです。振れも規定値内です。
点検棒もスルリと通り、状態はいいようです。
アッパーケースを点検します。
クラックの発生し易い部分のノックピン穴も問題ありません。
続いてヘッドを分解点検します。バルブステムのガタは特に大きくはありません。バルブシートは当たり幅が少し広めですね。
リムーバーなど使って燃焼室のカーボンを落とします。
大方のカーボンが落ちました。
エキゾーストスタッドボスのひとつは、欠けていた物を接着してあるようで、現状は強度は出ています。
ガイドや燃焼室を点検します。プラグホールからシートリングの間にクラックがあります。
クラックは2方向に入っていますが、まだ軽症のようです。
別の燃焼室も、同じところにクラックがあります。
こちらも2方向にクラックがありますが、まだ軽症のようです。