クランクケースを破損したとのことで、ケース交換します。
マフラーを外し、エンジンオイルを抜きます。
スプロケカバーのボルトは純正より5ミリ短いものが付いていました。
社外のボルトセットの中には、短いボルトがセットされているようなのでご注意を。
短いとケースのネジ山への掛かりが浅くなり、最悪ケースの雌ネジを痛めてしまいます。
正しく125ミリのボルトを使用してください。
スプロケカバーを外します。中心に少し干渉キズがあります。
スプロケナットか何か干渉していたようです。組む時に要チェックですね。
現在のナットにはキズが無いようなので、過去に干渉したのでしょうか。
スプロケットとチェーンを外します。
エンジンを下ろすので、腰上を車載で分解してしまいます。
先ずはバルブクリアランスを測定。規定値からかなりズレているところもあるようです。
レンチで正転逆転とクランキングすると、カムチェーンにたるみがあるのがわかります。
テンショナーを張り直すとたるみが無くなったので、純正のマニュアルテンショナーの調整がされていなかったようです。
カムを外す前にトルクチェックします。問題無いようです。
カムを外します。カムメタルのオイル通路に異物がありますね。
油穴から上がってきたであろう異物はこちら。なにやら繊維くずが固まったもののようです。
カムプラグはモリワキのように裏表逆組になっています。
1ヶ所は内側にズレてしまっています。
ヘッドナットを取ると、ワッシャーの位置が間違っています。
外側の4ヶ所はオイル通路を兼ねているので、ここが銅色のワッシャーを使うところです。
ヘッドを外します。ヘッドガスケットの裏表が逆ですね。
ヘッド自体は特に問題無さそうです。
燃焼室側もこんな感じ。オーバーホール後約3000キロとのこと。
トップアイドラーはダンパーが1ヶ所裏表逆です。
こちらは正しい方。
こちらの上側が上下逆です。
ダンパーは片側に鉄板が一体化していますが、それが上下外側にくるのが正解です。
アイドラーはグラグラします。ダンパー部分がヘタっているようなので交換します。
ヘッドガスケット純正のようですが、ボアのグロメット部分が円形に見える方をシリンダー側にします。これは上下逆組。
正しくはグロメットが楕円のこちらをヘッド側にします。
シリンダーを外します。
ピストンは純正ノーマルボアです。
ピストンリングは摩耗してベタ当たりになっています。これも交換しましょう。
軽くなったところでエンジンを下ろします。
ミッションカバーを外し、問題の破損個所が見えてきました。
オーナーさん自ら整備中、シフトのチェックをしている時に根元を折ってしまったそうです。今回はこれが原因でクランクケース交換のご依頼となったわけです。
エンジンカバー類を外し、上下反転します。
オイルパンを外します。オイルストレーナーにはこちらも繊維クズが付いています。
クランクケースを分解して中身を全て取り出します。
外せるものは全て外し、こちらのケースは終了となりました。
交換用のケースは只今ウエットブラストなどを施工して準備中です。